3つの条件
翌日、多くの兵士がゴアボイア男爵の屋敷に集まっており 反逆の罪を問われる事となった。兵士たちが屋敷を取り囲み逃げ出さないようにするのであった。
屋敷のチャイムが鳴ると老婆が出てきて何事かと問うも書状を読み上げて 4人を引き出せと一点張りである。この屋敷のパルムーナ・ゴアボイアが姿を現して説明を問うが問答無用で連行されて 他の子供達も同様で牢屋が付いている馬車に乗せられて 街中を連れまわしてからフレイア伯爵城に連れて行かれてしまった。
その後、彼等を街で見かける事も無くなり音沙汰も無くなるのであった。隣国の農村地帯で生涯を監視付きで生活をする事となった。全ての事柄が終わる。お披露目会も終わりを告げる。
イーナスとカイトがフレイア伯爵城に呼ばれた。
この2日間の間にイーナスの全魔力を使って魔法糸を作り出して織物にした。1枚のローブを作り上げるのであった。見た目も鮮やかで機能も付いていた。冷暖房完備で魔力結界、物理結界まで施してあり完全装備に仕上げられてしまった。右手に杖を 左手の腕にはオリハルコンの腕輪をはめており、純白のローブに刺繡を施して街中を歩くだけで 人々が彼女を見るだけで膝間付き、無言で街中を歩くのであった。そんな彼女の後ろから普段着でカイトが付いて来るのだが 多くの民達は、付き人と判断しており、何も言わないで見詰めるのであった。
イーナスが城門に来ると兵士達までもが膝間付き、武器を地面に置いて服従をする。その脇を通り過ぎるだけで安らぎを覚えて安心感が広がるのであった。尊敬の眼差しでイーナスを見つめる者まで現れるほどであった。その後も庭先から城に入る。すれ違う方々が尽く、ひれ伏せてしまい。反対に恐縮してしまうのであった。彼女まだ 14歳の子供であった。
街中では、大歓声が上がり イーナスを見た者達が絶賛するのであった。噂がうわさを呼んで必要以上に盛り上がるのであった。歩いてきた意味もあり、一際にぎわうのであった。彼女が普段着で歩く際には、誰も彼女を賢者だと思わないのであった。
イーナスがフレイヤ伯爵様の前で膝間付くと後ろに控えていた。カイトも同じ仕草をする。
「今回は、私の我がままを聞き入れて貰いありがとうございました」
「彼等は、隣国の農村地送りにした。それも監視付きで生涯、そこで暮らす事となる。俺の言い分も聞き入れてもらえるか」
賢者が来ると分かっていたので貴族が勢揃いしていた。この街を仕切る、子爵に男爵もこの場に居り、当然 父親もこの席にいた。
「出来る範囲でお願いします。私達はまだ見た目通りの子供です。その辺りの事も踏まえてお願いします」
イーナスの言葉に感心するものの 見た姿が子供である事も納得するのであった。自分達の子供が この席で同じ事が出来るかと言われたら無理だと判断する者達が続出するのである。今回のお披露目会でも多くの子供達が挨拶をするだけでも大変だったのに 貴族が勢揃いしている最中に会話ができる子供が何人いるのだろうと思うのであった。
「俺からの言い分は、2つだ。イーナスを我が娘にカイトをクララの護衛にしたいと思っている。どうだ!」
イーナスが少し考えた答えは、
「私は、それを受けます。但し、父には爵位を上げて 今後生まれてくる子供に爵位を譲渡できるように考慮してもらえるように計らいをお願いします。
カイト君に関しては、彼に聞いてください。私の一存で答えられません」
周りの貴族達も思っていた。10歳の子供に この場での発言などむりだろう。と
「カイトよ。どうだ」
「僕からは、3つの条件を守って貰えるのであれば、引き受けたいと思います。無理なようでしたら村に引き籠りたいとも思っております」
「それで 3つの条件とは 何だ」
「1つ、イーナスお姉さまにいい縁談をお願いいたします。
2つ、1週間に1度でいいので休みを下さい。海王学園に行くので色々と勉強をしたいと思います。
3つ目ですが 学園を卒業したら自由にしてもらう事です。冒険者に成って世界を回ってみたいです。
この3件を聞き入れてもらえるのであれば、引き受けます」
「カイトよ。貴様を国が手放さなかったら どうする積もりだ」
「勝手に逃げ出します。イーナスお姉さまに 一言告げてから」
「その頃には、厳重な見張りが必要になるな、頑張って逃げ切る事を祈るとするか、父親の件は、国王陛下も考えの1つに挙げられておる。問題なく、爵位の件は上がるだろう。
次にイーナスのいい縁談だが こちらも第1皇子の3番目の妻として名が挙がっておる。学園を卒業してからの話になると思って置いてくれ、くれぐれも学生の本分は、勉学なので思う存分励んでほしい。
1週間に1度の休みだが 反対にクララがカイトに付いて行く事に関してはどうじゃ」
「その際は、お守りいたします。あくまでも護衛なので護衛対象者が近くにいるのであれば守らせてもらいます」
ふと気が付くのであった。10歳の子供を護衛にした処で どうやって守るのかを貴族連中の頭を過るのであった。