聖女降臨
イーナスが2人を見て 深い溜息を呟いた。
「フレイアお嬢様、私達は両親に迫害をされていたのですよ。兄弟達からは毎日のように虐められて 私などはまだマシだったけどカイト君は、人と話もしなくなってしまったのです。そんな彼を少しだけ魔法が使えるからって養子になれとか、縁談だとか、彼の気持ちも考えないで もし、彼が国をでると言えば私も付いて行きます。
貴族の位よりもカイト君を私は取ります。彼を少しでも世間に慣れ指すために貴族に成ったのですから その辺りの話も国王陛下にしてあります。破られるようであるならば、私達2人は、国をでて他の国で生活をしていけばいいだけです。その責任は、フレイヤ伯爵様の責になりますので 今後の事も含めて賢者の称号を変換しても構いません。
今回の事を国王陛下に報告させてもらいます。その際に何が起きても承諾してくださる事を願うだけです」
「ちょ・ちょっと待って 早まらないでイーナス! 私が悪かったわ。あなたに聞いていた以上にカイト君が優秀だったから 彼をこの領土に引き入れたいと思ったのよ。あなた達を困らせる積りも無いの 信じて」
「それだったら 筋が違うでしょう。私達が陥った原因を潰してからカイト君に相談するならまだしも あなた方の言い分をカイト君に押し付けても カイト君も私も納得できないわ。
出来たら この国から彼等を追い出してくれれば、カイト君も元気になってくれるかもしれないのにね。それに縁談の話をする前にクララちゃんだったよね。彼女の気持ちも大事だと思うのよ。彼女を1度、ここに連れてきて話をさせてみたらいいのよ。その辺りの事も含めて私は、カイト君も大事なのよ。
少しは、私の気持ちを組んでもらえると助かるのだけど それとも学友として これからの付き合いにしても私は何も困らなくて フレイアお嬢様」
「わかったわ。彼が村に戻るまでに決着して見せるわ。もう少し待っていて」
『カイト様、聖女が開花する前に大怪我で瀕死の状態です。彼女をお助け下さい』
この世界の神々に もう 転生者を呼び寄せるほどの魔力が残っておりません。私の願いを聞き入れて貰えませんか。
『糞女神、今度 犯してやるから股座を掃除しておけ いいな!』
この時点で世界の時間が止まる。全てが無の時間の中、1人の少年が聖女を見下して立っている。彼女の頬に手を添えると彼女のみが時間が進みだして痛みを感じている。
金色に光の中から手が出て来るように見えたみたいだ。その手が彼女に触れると全てのケガが癒された。そして 声を聞く。
「人を治療すればレベルが上がり、魔物を狩ってもレベルが上がらない。聖女の称号を与える。人々の為に その力を使えばいいだろう。決して邪な事を考えるな! 国を亡ぼすぞ。俺様が」
「あなた様は、神様ですか。私の醜い身体を治して貰えませんか」
「理解不能、真実を自分の目で見てみろ」
自分の身体を触る。凸凹だった身体が滑るように滑らかになっており、顔中に付いていた傷跡も消え去るのであった。目を開いて前を向くと大きな鏡があって裸の自分が写っている。見た事も無いほどの豊満な胸でウエストが引き締まっており、お尻も豊満であった。
大粒の涙を流しながら
「私は、あなた様の女ですね。あなた様に相応しい女に成って見せます」
「そうか、好きにしろ! 餞別だ」
鏡に映し出された女性に衣が着せられた。世界の時間が動き始める。彼女が立ち上がると辺り一面で戦っていた冒険者や騎士達を癒しの力で忽ち、回復してしまうのであった。それどころか、相手の力を弱らせて魔力切れを起こして倒れ込むもレベルが上がり、回復するのであった。
その行為を戦闘が終わるまで続けると夕方には決着するのであった。人間世界の国に聖女が降臨したのであった。彼女が目覚めたのは、フカフカのベットで多くの騎士たちが彼女の前で膝間付き、見守り祈っていた。目覚めの時を期待して
彼女が目覚めると国の国王陛下までもが 彼女の真横までやって来て
「あなた様は誰ですか。どうして癒しの力を持っているのですか。その力で我々を導いてもらう事は可能ですか」
「私の神が言いました。人々を救い、幸有る事を願うと 但し、邪な力を使えば滅びるともおしゃっておりました。生きる者すべてを殺す事も望んでいるかの如く 呟くのです。
その中に私も含まれております。だからこそ、邪な考えを捨て 生き物すべてを私が助けて見せます。この世界の神を降臨させるために」
次に目覚めた時には、知らない服を着せられており。知らない部屋の一室に寝かされていた。着ていた服を脱ぎ去り、懸命に服を探し始めるのであった。多くの人に聞いて回りながら 裸で
「誰か、私の服を知りません。ですか。あれは、神からの贈り物なのです。あれが無いと神との会話が出来なくなってしまう。お願いします。服を返してください。
お・・ね・がい・・します・・・」
大粒の涙を流しながら廊下に膝間付き、泣きじゃくるのであった。
「すまないねぇ~ 汚れていたから洗濯をしておいたよ」
「どうして 勝手にそんな事をするのですか。そんな事をしなくても魔力を浸透させれば元に戻ります。これは征衣なのです。私の神が離れれば、この世界が滅んでしまいます」
『残念だ。気長に長生きをしろ』
簡単に見捨ててしまった。のちにカイトが訪れた時には、老婆の様になっており 国が滅んだ後であった。小さな小屋に住んでおり、聖女の力も維持できている筈なのに衣を失っただけで全てを無くしたと思い込んでしまっていた。
カイトが彼女の頬に触れると元の姿に戻り、
「昔の記憶を思い出せ、人々を救えと命じたよな! 忘れたか。
とんだ茶番を見せてくれた。感謝する。褒美だ、残り100年も生き残るであろう。時期 魔王が復活を遂げる。貴様はどうする。人々の死を眺めながら祈るのか」
「我が君、わ・私に どの様な処罰もお受けいたします。人々をお救い下さい」
カイトの前で膝間付き、祈りをささげるも
「人が何人死のうが 何百人死のうが俺には関係が無い。聖女の力で人々を導いて救い出せ、それが お前自身が望んだ事だ。前世で
そして 貴様はどうする。今回も見捨てて貴様だけが生き残るのか」
「私には、何の力も持っておりません。人々は、神を待ち望んでおります。あなた様の御力で人々を救ってください」
「それがおもしろくないから貴様に命じた。出来ないのであれば、人の死を眺めながら祈ればいいだろう。貴様の身体と魂は何度も焼かれても生き返り、そのままの姿で蘇る。残り100年後の死を待つまで衰える事も知らないで 10代の若さで死ねるのだ。感謝しろよ。
そうだな! もし 魔王を討伐できたのであれば、俺の女にしてやってもいいぞ。存分に俺の上で腰を触れ」
「い・今の言葉に嘘偽りがありませんか。私を女にしてもらえるって件」
「目覚めの時間だな」
木陰で椅子に座りながら いつの間にか、寝てしまっていた。昔懐かしい夢を見たと晴々としていたのだが ふと気になって自分自身の手を見てみると元に戻っていた。それどころか、目の前に杖が宙に浮いており 昼間から正夢を見るようであった。そして 念話が届く
「次は無くすなよ。期待してみていいのか、貴様を抱ける日が訪れる事を願う」
杖を抱きしめながら 大粒の涙を流して喜んだ。後に何度も魔王と対戦するも最後の一人になってでも戦いから離れる事も無く、最後には魔王を退いたのだが 彼女にとっては、一大事であった。討伐が出来なければ、彼女の神が舞い降りて来ないし、迎えにも来ない事を理解するのであった。
そう言えば、あの女の名前は、何と言ったかな その内に有名にでもなれば、わかるだろう。抱く気も無いが