名が変わる
イーナスが馬車の中に乗り込んできた。カイトの隣に座り込むとそのまま抱き付くのであった。
「1年ぶりのカイト君の匂いだ。懐かしい」
「イーナスお姉さま、苦しいです。放してください」
あきれ顔でカイトとイーナスを見つめるのであった。父親が
家では、新しい母親が待っていた。カイトとは、2度目の再開でイーナスとは、初対面であった。
カイトとイーナスが話し手をしている最中、
「イーナスお姉さま、左腕を見せて貰えませんか」
「どうしたの 指輪の確認、機能しているわよ。どうやって作ったの この指輪を」
これまた何処からともなく、ブレスレットが出てきてイーナスの腕に納まるのであった。
「護身用です。使ってください」
マジックシールド、全ての敵を除外する。
常に鑑定眼鏡を付けているために それを見ただけで理解する事が早かった。そして 1雫の汗が零れるのであった。
「鑑定眼鏡を使用しているので理解しましたよね。言葉に出さなくていいです」
この子は私に何をさせたいの? ここまで来るとあきれてものが言えないわ。
「カイト君の望みは何? 私に何を望んでいるの」
カイトが悩んだ振りをする。
「そうですね。僕を12歳から 冒険者にしてください。世界を回ってみたいです」
「私の一存では、無理ね。カイト君自身が国の管轄の1つに成っているのよ。この国を出て行かない限り、国がカイト君を手放さないと思う」
「どうして そんな事になっているのですか。僕が何か、しましたか。?」
イーナスが杖と指輪をカイトに見せると
「この指輪と杖に名が付いているでしょう。これが原因よ」
「あっ、そう言う事ですか。分かりました」
カイトが触れると杖と指輪から称号が消えてしまい。普通の杖と指輪に変わるのであった。機能はそのままで
「これで問題がありませんね。普通の杖と指輪になりました」
「何をしたの どうやったの? 私にも分かるように説明して」
「この杖も指輪も僕が作った物です。名前を消しただけです。遊び半分で作った代物なので名前も適当に付けたにすぎません。魔力浸透をしやすいようにしたまでで それに指輪の方が効率がいいかと思うし、見栄えもいいかと思いまして」
本来なら宝石も付けて手渡したいと思ったけど さすがにこの身体でそこまですると疑われてしまうよな
本当に何者? 本当に私の弟なの?
街中に入ると馬車が進みだすも賢者が凱旋している性か、中々 進まないでもどうにか、家路についた。
家に着くなり、正面の扉から入らずに裏に回り込んで家に入ろうとすると ここでもイーナスに止められる。
「カイト君、玄関はここよ。何処に行くの?」
「そこは、イーナスお姉さまとお父様の入り口です。僕は裏に回ります。それに裏口の方が僕の部屋に近いですので」
「ちょっと待って カイト君の部屋は、この屋敷の中で1番いい部屋を用意したはずよ」
「僕には不要です。薄暗い部屋で十分です。多くのお客様も来ると思いますので そちらの方々に使ってもらって構いません。元々が要らない子で育っておりますので慣れております」
「なら 私もカイト君と同じ部屋にするわ。私にも不釣り合いだし」
カイトとイーナスが裏口に向かうと 執事にメイドが取り残されて その場に父親が馬車から降りてきて出迎えられたがカイトの姿もない事を聞くといつも通りに裏口に回ったと それどころか、イーナスまでもが付いて行き、同じ部屋で過ごすとの事であった。
新しい母親が出迎えた時には、その場にイーナスの姿が無い事を懸念して尋ねるも返ってくる言葉を聞かなくても理解していた。この屋敷の主が小さい小部屋で この家を使わせてもらっている者が大部屋を使う不釣り合いな生活が始まるのであった。
カイトの部屋は、使用人の部屋よりも最低で部屋の中にベットがあるだけの部屋であった。他には何も装備されていない。
「いい部屋じゃない。私の部屋もこんな感じよ」
イーナスのアイテムバックから机と椅子を取り出して腰掛ける。カイトがティーポットに熱いお湯を注ぎ入れて カップにお茶を注ぎ入れると美味しそうに口を添えるのであった。
「太陽が上がれば、小窓から光が差し込んでくるなんて」
「僕も気に入っております。幸い、窓が付いていてよかったです」
無くても勝手に作ったけど
「カイト君は、これから何か用でもあるのかな」
「僕ですか。庭の手入れや料理のお手伝いをします。まだ 見習いです」
カイトが部屋から出て行くとイーナスがカイトに付いて行った。どんな働きをするのか、興味があったからである。けど 不思議と仕事道具も持たないで庭に出ると風が吹き抜けて草木が勝手に切り取られて行き、風が吹きただけで落ち葉が集まり出して歩いてきた方向と別の屋敷の裏手に回るのであった。
そこでも風の刃で木の葉を切り刻み一塊の山にして蓋をして置かれるのであった。
そのまま、屋敷に入ろうとするとイーナスに止められた。