氾濫
「レディーファーストです」
「何だ。蛮族は、怖いのか。情けない奴だ」
どんな感覚で出てくるのか見たいだけだ。本当は、ちょっぴり怖いけど
グレン・コーディネリアが針で指の先端部分を刺して水晶に自分自身の血を1零すと水晶が光り輝き、ミスリルの板が出てくるのであった。板の上段に名前とランクが記入されており、それ以外が誰にも分からないようになっていた。
その後は、私が先にやらせてもらい。最後が異世界人の彼だった。
「異世界からの訪問者の方は、分からないからお教えしますが この冒険者カードを無くされた場合、大銀貨5枚が必要になります。どの位の金額かと言いますと宿泊1人分が銀貨5枚を使用します。その10倍です
因みにお金の事もお教えしておきます。
銅貨10枚で 大銅貨1枚です。
大銅貨10枚で 銀貨1枚です。
銀貨10枚で 大銀貨1枚です。
大銀貨10枚で 金貨1枚です。
見る事も無いと思いますが
金貨1000枚で 白金貨に成ります。
この先、バロンフォード領に向かうと思いますが くれぐれも間違いを起こさないでください。異世界人だと言っても簡単に首を落としてしまいます。
まぁ~~カイト君が一緒だから心配しておりませんが どちらかと言えば、彼の暴言の方が問題かもしれません」
そのおかげで役職の人達が助かっているのも事実なんだけどね。たまに言いすぎでないか、心配してしまう場面もあるから ・・・
「カイトって そんなにも暴言を吐くのですか」
「先程のミナギク様、みたいな程度よ。相手かまわずだけどね。
けど 私達が助かっている事も事実よ。そんなに心配する事も無いから 彼の場合は」
「どうしてですか」
「カイト君が特別だからよ。ごめんね、それ以上は言えない決まりで詮索しないで」
カノンが少し考えて
「仕事が関係していますか」
「カイト君の仕事って聞いているの」
「御守だと聞いております」
「この街に1度だけ、連れてきたことがあるけど あれは、私には耐えられないわ。当然、冒険者ギルドのギルドマスターも逃げ出したし、ミナギク様までもが近づかなかったわ。
後から聞いた話だけど 面倒事は避ける心情みたいよ」
「無駄話も程々にしてもらえませんか。まだ 終わっていないのでしょう」
そんな一幕がありながらも カイトとミナギクが2階に上がってギルマスの部屋に入ろうとすると2人が内緒話をしていた。そんな処に構わずにカイトが入ると
「悪巧みの話か、来年にするか。俺が来るのも 婆さん、帰るか」
「ならば、話の続きを商業ギルドで行うとするかのぅ~」
「待て 待て そんなくだらない話をしているのでなくてだな! コイツの嫁探しをしていただけだ」
「そんなくだらない話で 無駄な時間を使っているのか。冒険者ギルドとは、それ程にも暇な部署か」
『カイトさん、氾濫です』
『数を減らしながら 街に戻ってきて』
『彼等は、如何いたしますか』
『運が良ければ生き残るでしょう』
「おっさん、氾濫だ。場所は、例の場所」
「数は?」
「200~300ぐらいだと言っている」
適当に! 誰かが仕組んだのか、それとも試験的に行ったか。もしくは ・・・ 無い事を願おう。
「カイト付いてこい。下に行くぞ」
カイトたちが1階に降りて行く頃には、街の鐘が鳴り響き警戒態勢を知らせるのであった。
カイトにギルドマスター、そして 領主のリバーツ・サラナヒューが1階に降りて来る頃には、多くの冒険者たちが集まっていた。
「諸君、氾濫が起きた。Cランク以上は強制的に参加するように 参加しなかった者に対しては厳罰もあると思え、Dランク以下の者は、自由参加とする。自分の命だけでも守るように場所を説明する」
「なら 俺は、Dランクだから不参加で 婆さん、商業ギルドで話の続きをしよう」
「そうじゃ な! ワシ等には、関係が無いな」
何を言っている。2人ともSランクの癖に 何をほざく!
「カイトは残れ、お前は現場で冒険者たちの回復をお願いする」
「現場での回復師がいるだけでも士気が上がるからな! 諦めるしかないよな カイトよ」
「ミナギク様は、城門で待機を願います。我々が失敗した時には、援護をお願いしたい」
「やれやれ こんな年寄りを扱き使いやがって ここの冒険者は」
冒険者達が無駄口を叩くと威圧を載せてしゃべりだした。
「何か、言ったか。またしても 私の悪口か」
冒険者達がちじこまり、委縮しはじめるとカイトがミナギクの尻を叩く
「何を 士気を下げるかなぁ~ さっき、俺には士気を上げろって言ったばかりだろう」
この2人だけは、勘弁してもらいたい。冒険者が束になっても勝てない2人なのに 俺でも無理
「処で お前の親たちは、いつもの処か」
「カイト、私達は どうしたらいい?」
「婆さんに付いて行って 飯でも食ってろ、時期に終わる」
『カイトさん、俺達は如何いたしますか』
『カイトさん、森を抜けます』
「おっさん、森を抜けるぞ。早く向かわせろ」
「聞いたな お前等、街を守るぞぉ~~」「おっおぉぉ~~」
冒険者達が走り出して城門に向かった頃には、既に小鬼が出てきており、森の入り口辺りで未だに バロンフォード領から来た冒険者達が戦闘を繰り返しながら逃げ出していた。さすが数の脅威である。