はじまり はじまり
ある日、この村に1人の女性と娘がやってきた。この村は、近くの街から遠く離れており大人の足でも2日も係るほどに離れていた。そして この村には、子供が1人しか存在していなかった。それが主人公のカイトであった。父親は、村の護衛兼農家を営んでおり、母親も家の事をしながら農民として 貧しくとも笑いが止む事も無い程に楽しい家族であった。
そんな家族に父親の妹が訪ねてくる。
「どうした。ガンザは?」
「ガンザは、依頼に失敗して私達を残して死んでしまったわ。それで悪いのだけど 当分、ここで生活させてもらえないかしら」
「確か、冒険者だったよな! ガンザは優秀な冒険者だった筈だ! それがどうして」
「彼も馬鹿な奴よ。仲間を守って命を落とすなんて 私達がいるのだから命を大事にして欲しかったわ」
「なんだ、娘に武器を持たせているのか。もしかして冒険者にでも育てるのか」
「この子は、剣筋がいいそうよ。良く、ガンザが褒めていたわ。この子も成るのかしらね。冒険者に それで兄さんに この子の確認してもらいたいのよ。本当に可能なのかを! 私は、魔法の事なら教えられても剣はさっぱりなの」
「あんた! そんな入り口で話をしないで中に入れてやりなよ。小さい女の子も一緒なのだろう」
「そうだな!」
「お姉さん、少しの間 お世話になります」
「少しなどと言わないで 腰を下ろすのも進めるよ。まぁ~田舎暮らしなど街から来た。あんたには、暇で死ぬかもしれないがけど」
娘のカノンが心配になって 母親に聞く。
「お母さん、暇だと死んでしまうの?」
「何だい、カイトと同じくらいか! カイト、風呂を沸かしてあげな」
「分かった!」
「あんたもそんな処に立っていないで 妹と久しぶりに会ったのだから酒でも飲んだらいいだろう。酒の肴を持っていくから待っていな!」
「リリス、久しぶりの実家だろう。寛いで行けよ」
「カノン、自分で挨拶しなさい」
「カノンです。14歳です」
「本当に内のカイトと同じ年だったのか。カイト! カイト! お前も挨拶をしな!」
少しの間が過ぎると
「カイト! 聞こえているのか。挨拶しろよ。恥ずかしがっていないで」
「五月蠅いババァ~~だな! 風呂を沸かしている最中だろうがもう少し待っていろよ」
暇を持て余して寝ていた。念話がとぎる事もなく
「悪いわね。家のバカ息子は、魔力操作が出来ないものだから大変なのよ」
「ちょっと待って お姉さん、カイト君は魔法を使えるの?」
この世界では魔法が使えるのが生まれ持った貴族か、親から受け継ぐ魔力を元に魔法が扱える子供であった。その為、多くの子供が街に行って学園で魔法を習うのであった。
「何を言っているの リリス! 田舎では当たり前でしょう。魔法を使う事は」
「兄さんがカイト君に魔法を教えたの?」
「忘れていないか。俺が魔法を使えない事を! 俺が使える魔法は、身体強化と瞬歩だけだ。その類なら訓えたがそれ以外は、母さんだ! 俺に詠唱は無理だ」
「カノンちゃんは、肉と魚はどちらが好きだい」
「肉です」
「カイト、火おこしが終わったら 肉を持ってきておくれ」
「分かった」
会話が出来るなら安定したな!
「安定したみたいだね。父さん、もう少しで風呂が出来るから入っておくれ その後にリリスさん達に入って貰うから 飲み過ぎるなよ」
「悪いな、家のかぁちゃんは口が汚くて!」
「そう言えば、お姉さんも冒険者だったのよね。それがどうして 田舎暮らしをしているの?」
「潮時だな! 何も無理して街で暮らさなくていいからな」
潮時って何よ。暇さえあれば、私も小銭を稼ぐために薬草採取をしているのに どうしてそんなにも穏やかな生活ができると言う訳。
「私たち程度の冒険者なら 替えは幾らでもいたからね。才能が無かったのよ」
「ちょっと待ってよ。兄さんもおねぇさんもAランク冒険者だったのに どうして」
「父さんも言っていたでしょう。潮時なのよ!」
「父さん、風呂が沸いたよ。肉を持ってきたぞ、何の肉でもいいのだろう。
それと調味料が少なくなってきたな! 特に塩が少ない。俺は、カイト! よろしく」
「私は、リリスよ。カイト君も冒険者を目指しているの?」
もしかして鑑定も持っていないのか。普通過ぎるだろう。
「私は、カノン」
「俺には、無理だよ。農家と猟師がいい処だ」
嘘だけど 言っても信じないよな 学園を卒業したら 家に帰ってきたいものだな!
「本当にバカ息子だね。自分の才能も解らないなんて」
「才能の持ち腐れだな! 我が息子ながら羨ましい悩みだ。俺にこいつの才能の10分の1もあれば、未だに冒険者をやっていたかもしれないな!」
「だったら 今からでもいいぞ! この家は、俺が引きついてやる」
「カイトもコイツと同じで口が悪いが許してくれ」
「それは、構わないけど! カイト君は、魔法ができるの?」
「知らない。考えた事も無い。生活に支障が無い程度」
テメェ~に関係が無いだろう。どうせ!俺を誘拐して金でも稼ぎに来たのか。何処の奴隷商でも闇ギルドでも俺を引き取りはしないぞ。まぁ~~好きにすればいい。
この物語の主人公で 名をカイトと言う。この世界は、剣と魔法の世界なのだが魔法を扱える人口が余りにも少なく、魔力持ちは高値で売買をされるほどであった。そんなカイトも幼少期に2度も誘拐をされて自力で帰って来る事があった。当然、その場の現場は惨い有様になるのである。
魔法の扱いも習わないでいた為に見た魔法をそのままに扱った為、数百名が黒く炭になるのであった。1度目は! 2度目などもっと悲惨で売った本人と家族一同まで両手両足を切断して 家の中で蠢いていた。芋虫の様に声を露にして近所の住人が見つけるまで
1度目が闇ギルドで 2度目が奴隷商人であった。双方ともカイトに関りを持たないようになった。