2日目(3)
開いていただき、心から感謝いたします。
時は経ち、お昼休み。
私が今日いただくのは、コンビニで買ってきたサンドイッチです。
なんて行っている間に優くんに異変が。
いつも仲の良い拓人とご飯を食べている彼。
しかし、今日は拓人がお休み。
一人で動画サイトで何かを見てながらご飯を食べている。
それは非常に尊い光景なので良いのだが、この機を逃すまいとしたのは、お世辞にも品がいいとは言えないヤンチャな男子たちだった。
「ねえねえ、佐々木くんてさ、いつもお弁当だよね。」
馴れ馴れしくしやがって。
まぁ、佐々木くん、と苗字で読んだことは誉めてやろう。
「その弁当ってもしかして自分で作ってたりするの?」
は?お前、そんなことも知らねえのか。
優くんはな、長期休みに入ると手作りお菓子を持ってきてくれるような、そこらの女子よりも女子力の高い男子だぞ。
「えっ、うん。
あ、でもお母さんに手伝ってもらってるし、むしろ、お母さんが作るの、手伝ってるくらいだから。」
なんて謙遜する優くん。
もう、謙遜するなんて、本当いい子だなぁ。
優くんがそのレベルなら、毎日弁当を忘れかける、挙句、母が早く出勤する日は弁当がないような私は、一体どのようなレベルに配属されるというのだ。
心の中で優くんを褒める気持ちと自分の不甲斐なさを認める気持ちとが混在しているが、彼らの会話は続く。
「えー、でもすげーじゃん。女子より女子力高いんじゃね。」
優くんに話しかけている名前も曖昧な彼は、優くんの机の前でしゃがんだ。
その上、机に腕を曲げて置き、腕に顎を乗せるという完全陽キャの行動を見せている。
そして、私に今最もかけてはいけない言葉を放った。
(やめてっ。もう菜緒のライフは0よっ。)
つい胸を押さえてうずくまると、目の前で弁当をつつく香織がまたもや冷たい目線を送ってきていた。
「次はどうした。厨二病ごっこか?」
私を心配するそぶりさえ見せない香織に悲しさを感じる。
だが、そんな気持ちは一旦仕舞い、香織に伝える。
「あ、あれを見よ。」
先ほどまで見ていた彼らを指差す。
自分も一緒に目をやる……と……なんか、あの子たち、仲良さげじゃないか?