フクロウと流星群
詩・短編を書いてみました。
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字ぐらいで書いてあります。
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
少女は今日の夜をどれほど楽しみにしているのだろう。
多分
相当楽しみにしていたに違いない。
だって
彼女は窓から鼻唄を歌いながら
いつものエサを撒いているのだから。
僕は止まり木の枝から降りて
そのエサをついばむ。
彼女は星が好きだ。
2にも3にも星が好き。
その証拠に
彼女の部屋には望遠鏡がある。
窓から飛び出るように立派な望遠鏡。
それは多分
どこまでも見通す力があるのだろう。
そのような力がある望遠鏡を使っているからこそ
彼女は夜空を見る度に
瞬く星の輝きに興奮したり憂いたりしているのだと思う。
ただ
彼女が見ている世界が
どのようなモノなのかは分からない。
でも
彼女が喜んでいるのを見るのは楽しかった。
それだけで僕は幸せに思える。
思えてしまうからこそ
ある日の夜に
彼女の泣き声が聞こえてきたのには驚いた。
心配して窓から部屋へ入ると。
彼女はボロボロと涙を流して
泣いて。
泣いて。
泣いていた。
どうしたの?と鳴いてみたけど。
彼女は教えてはくれない。
僕は心配で仕方なかったけど。
その気持ちを鳴く事でしか表せられなかった。
それから
彼女はエサを撒いてくれなくなった。
当然だ。
理由は分からないけど
あれだけ悲しいことがあったのに
僕たちを気にかける余裕があるはずがない。
しかし
それに気づかない仲間は
少しずつどこかへ飛び去っていき
今は僕しか残っていない。
僕もどこかへ行こうかと一瞬は思った。
でも
それをしてしまうと
いつも僕たちを気にかけてくれた彼女の想いを
踏みにじるような気がして
どこかへは行けなかった。
そんなある日。
突然と窓からエサを撒かれた。
僕は驚いて窓を見ると彼女がエサを撒いている。
僕は嬉しくて彼女の所へ跳んだ。
彼女は僕が近づくと優しく迎え入れてくれて
その笑顔の理由を話してくれた。
どうやら
今度の夏の終わりに「流星群」と「彗星」というものが空から降ってくるらしい。
それが何かは
僕には分からないけど
彼女が喜んでいるならそれでいい。
それから僕は
その日が来ることを楽しそうに待つ彼女と一緒に過ごした。
彼女のアグレッシブな行動には疲れるけど。
泣いているよりはマシだ。
そして夏の終わりの夜。
夜空は見たこともないような星の輝きで埋め尽くされていた。
彼女は望遠鏡で夜空を覗き。
僕はその彼女の隣に立ち。
一緒に星を眺めた。
彼女は星たちの輝きに様々な喜びを見せ
僕にもその喜びの理由を教えてくれた。
そして全てが終わり
流星群と彗星を見終えた少女は
笑みを浮かべながら
仰向けに倒れて僕を手招きで呼ぶ。
僕が近づくと彼女は「ありがとう」と呟いて
眠るように目を閉じた。
僕は彼女の頬をつついたが
彼女はピクリとも動かない。
それは静かに終わりを告げるかのようで…。
僕はなんとなく寂しかった。
そして
曖昧な感情だったけど
あの涙の意味が分かった。
今、彼女は死んだんだ。
僕は近くにあった薄い掛け布団を
クチバシでくわえて彼女に掛けた。
オヤスミ。
そう鳴きながら………。