第43話 嵐の中へ
ゼエッハア、ゼエッハア
俺はだだっ広い草原をぜえはあ言いながら走っている。ランナーの『スタミナアップ』があっても、未舗装の草原を何キロも走るのは、余計な物を捨ててもなおきついらしい。
遠くには櫓が見える。その下ではすでに戦闘が始まっているのだ。
俺は犠牲を少しでも減らすため、クールタイムの明けた『ダッシュ』を使い加速した。
1時間と少し前
「襲撃…」
「セドナ、最も早く状況を立て直す方法を」
「お待ちください」
セドナは考え事を始めた。
10秒の後、なんともセドナらしい作戦を立案した。
俺は少しだけ休憩をする。
地面にうつ伏せになりながら水を飲む。余分な体温を冷ますためだ。
東の果てには胡麻のように櫓が見え、西の果てには稜線が空と地面を区切っている。セドナはあの頂上から狙撃すると言っていたが、本当にできるのだろうか…いや、とにかく信じるほかはないな。
「っし、休憩終わり!」
俺はパチンと頬を叩き、身体に酸素を回すため余計な思考を放棄した。
櫓3階。緊急指令室
「キリヤさん。状況を教えてください」
「ユウトか。早かったな」
そりゃまあ、大将がリスポーンして移動するなんて普通は考えつかないでしょう。
「今は櫓のゴブリンとNPCの支援でなんとかなっておる。が、不利だ。
向こうの大将はハルカ達とゴブリンリーダーが抑えてくれている」
ゴブリンやNPCとの連携がうまく行っているのは幸いです。
「セドナはどうした」
「山頂で狙撃と指示を下すそうです。おじいちゃんも一緒です」
「そうか…セドナは解像度さえあれば距離は関係無いのか」
「はい。上手く付き合っています」
セドナは本当によくやっています。脳を機械を埋め込んだからと言って、感情が無くなるわけではないのに。
「それでは、わしも頑張らねばなるまい。
行ってくる」
「武運を」
作中で言えなかったから少しだけセドナについて
・0歳 誕生(父親は生物学者)
・2歳〜3歳 世界レベルの天才として有望視される
・4歳の誕生日 車にはねられ死亡
・0歳 父親によりクローンとして再誕。秘密裏に育てられる
・14歳 疾患で死亡
・14歳 機械として再々誕
・16歳 現在
つまり2回死んでて、そのうち1回は記憶がある。機械なので複雑な計算も作図も余裕




