第36話 リアルサイド
4/29 金曜日 昭和の日
俺はある神社に来ていた。
昔は盛大な天長節が行われていたのだろうが、今日は一般人は俺以外に一人もいない。
「…で、ゲームで強くなるためにワシの所に来たと」
俺がいるのは今どきかなり珍しい畳の間で、向かいに座っているのは豊かな白髪の爺さんだ。ただしその筋肉は下手な格闘家をも凌ぐほど。
「いいだろ?別に悪いことに使うんじゃないんだからさ」
「だがなあ…良いか?我が一族に伝わる武術は、今は警察で使われているがな。元々はこの社に捧げ、また守るためのものだ。それが空手と混ざったものだ。それをゲームに使うのは…」
この爺さんは渡部雄也。この神社の神主であり、俺が『大阪の竜』時代に何度もお世話になった人だ。
「むう…」
沈黙が落ちる。雄也さんは俺がいつまでたっても慣れない人の一人だ。
「…で、話は聴いてやろう。なんのゲームだ?」
「ありがとう!<クロスオンライン>ってゲームなんだけど」
「ほんとうか!」
お、おう…
「実はワシの孫もやっててな、それでワシも始めたんじゃ」
おお!
「しょうがないな。お主の根性から叩き直してやる」
「押ぉ忍!」
テスト死んだ