第14話 白狼ミシェル
思い付きでこんなん書いたで
現代訳遠野物語 https://ncode.syosetu.com/n2573gy/
東北は岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承をまとめた久遠のベストセラー!
『日本人とはなにか』日本が近代化に向けて動く明治に、柳田國男先生がそれを考える中で執筆した貴重な産業革命以前の説話集。それを他の人にも気軽に見てもらえればと現代文にしました。
予定では休日の19時投稿や!
「みなさん逃げて!」
ユウトの声でみんなが逃げ始める。
ゴウ!
と白い風が通り過ぎた。
「ウォォォォン!」
そこにはだいぶ白くなったヤツが遠吠えを放っていた。
「マスター!敵が撤退を開始しました!」
セドナさんが告げる。
なるほど、自分が逃げるのは最後ってか。
俺は小太刀をしまう。『剣士』系統を持っていない俺では、ヤツの攻撃を小太刀受けられないからだ。
ヤツがチャージを始める。
俺は『ダッシュ』で距離を詰める。
「ぉお!」
飛び蹴りを放つ。
避けられる。
俺とヤツが格闘戦を始める。
こいつ…強い!
「ガァ!」
右爪。左手でいなす。
痛え!
「ぐっ…うぉお!」
カウンターの裏拳。まともに入った!
「グゥ!」
ヤツの体当たり。俺は体勢を崩した!
俺はずっと動き続けていたので、スタミナが切れてきたようだ。
ヤツが前足を上げる。
また負けるのかと思ったが…
ガッ!
俺とヤツとの間にユウトが入ってきた。
「タツは少し休憩してください」
「…助かる」
言葉に甘えて俺は少し下がり休憩する。
『ヒール』をかけ、支給された水筒から水を飲む。
ふう…
「タツ君」
ファニーさん…だったかな?が、話し掛けてきた。
「なんです?」
「これを使え」
そう言って取り出したのは、瓶に入ったいかにも毒々しいドロッとした液体だった。
「これは…?」
「栄養ドリンク…だと思う。うちのサブマスターが作った」
把握してないのか。
「効果は保証する」
ならばありがたく使わせてもらおう。
「あ、そうだ。これをセドナさんのところに渡してくれ」
俺は火のつく御札を手早く矢に結んで渡した。
「…わかった」
「ありがとう」
よし、そろそろ復帰するか。
俺はファニーさんに貰った液体を飲み干す。
おお!体が熱くなってきた!
俺は『ダッシュ』でユウトの元へ駆ける。
ヤツは慎重に戦っているようだ。
さっきと少ししか色の変わらないヤツを褒めるべきか、それでも確実にダメージを与えたユウトを褒めるべきなのか。
それでもヤツはかなり白くなっている。
「…!」
ユウトと戦っていたヤツに飛び蹴りを放つ。入った!
ユウトはさすがに疲労が大きいのか下がって休憩を取り始めた。
ヤツの毛が、ほとんど白くなった。
「グゥ!」
ヤツの突進。
「はぁー、はっ!」
俺は数歩前に出て、ヤツと正面からぶつかった。
ぐっ!身体が持ってかれそうだ!
おそらく、もう少し加速していたら耐えられなかっただろう。
「グルルル…」
「ぐぅぅぅ!」
バッ!
しかしヤツは後ろに跳んだ。
地面に炎が上がる。セドナさんの弓矢だ!
俺はその隙を逃さず左足で『龍爪』を放つ。避けられる。
しかしそれで構わない。俺は勢い付いた左足を軸にし、右足で本命の『龍爪』を放つ。決まった!
しかしヤツはまだ倒れない。無防備な俺に襲いかかってきた!
「うおら!」
右足を戻して後ろ回し蹴りをみまう!
「グフッ!ウゥ…」
遂に崩れ落ちた。
「うおおおおおお!」
勝鬨を上げる。
「うおおおお!」
まわりも倒せたことに湧き上がる。
俺は疲れてその場に倒れ込む。
ふうー。
櫓の方ではプレイヤー達が健闘を称え合っている。
「お疲れ」
誰かと思えばファニーさんだ。
「ああ、助かったよ」
「あの薬効果すごい、けど…」
「なんだ?」
「筋肉痛になる。すごく」
うっ、それを先に言ってくれ!
俺はちょうど筋肉痛が来て、しまらない終わり方となった。
「それではグレイウルフの討伐を記念して、カンパーイ!」
「「「カンパーイ!」」」
時刻は夕方。場所は<アイスクリーム>の屋外訓練場。
今回の討伐作戦の参加メンバー達で宴が催されている。
俺は筋肉痛の身体を多少引きずりながら参加していた。
「一発芸やります!逆光は勝利!」
「爺さん古いぞー!」
朝礼台の上で一発芸をしている人がいる。漫画好きの俺が知らないのだから相当古いのだろう。
「俺に助けられたアイツの悔しそうな顔と言ったら!」
「いえいえ、僕と相方のコンビネーションで2体のグレイウルフを相手に大立ち回りを…」
「私とゴブリンはまるで戦国時代の一騎打ちのようで…」
ここでは武勇伝を語り合っているようだ。
「やはりこの、普段はいがみ合っているライバルを助けるシーンがね」
「見てください!この二人の美しき愛のコンビネーションを!」
「プレイヤー×モンスター…アリです」
「まあ!みなさんとても素晴らしい絵です!」
あそこは…なんだか近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
「危ない所を助けていただきありがとうございました!」
「ああ、これはご親切にどうも」
「それで…あ、あの!お礼をしたいのですが!」
「ええ!?別にいいですよ!お礼はもう貰いましたし」
…爆ぜろ
「タツー負けちゃった。慰めて」
「よしよし。でもハルカさんが『サクマがいなければもっと早くに壊滅していただろう』って褒めてたぞ」
「へえ。あのハルカがねー。ふーん」
「サクマ…なんだか怖いぞ」
ハルカさんが誉めるのはそんなに珍しいのだろうか。
こんな感じで宴は夜遅くまで続いた。
「でもやはり…」
「ええ…」
「ピンチのタツさんを救うユウト君が一番いいですわ!」
腐女子グループの小咄はなぜか筆が進みます。
<ファニー製造>のサブマスターはチュンリーという少女です
チュンリー
外見:灰色の髪に翠眼 中華系美少女
メインクラス 薬師
サブクラス1 コック(料理人系統)
サブクラス2 リサーチャー
サブクラス3 未就職
中国系日本人でファニーの同級生(学部は違う)
料理がとてもうまい
モデルはウチの中国人への偏見。でも語尾にアルとか付けないし拳法も使わない
今回の補給班の副班長
作戦中に合計レベルが30を越えた。オブサーバーに就く予定