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第13話 老兵アイアス

書き終わった眠い!(11:30頃)

 付与師の方に魔法を掛けてもらった後、僕は件のゴブリンと戦っています。

 タツが苦戦した相手なら、グレイウルフを倒せない予備戦力や後方部隊で倒せる人はいないでしょう。


「グィア!」

カンッ

 鋭い突きを円盾で受けます。

 タツの言っていた通り技術がとても高いです。

 空手家のお爺ちゃんと同じ匂いを感じます。


 しかしこのゴブリン。射程は向こうの方が長く相性が悪いです。

 タツが勝てたのはフットワークが軽いからでしょう。

 しかも…


「グウ!」

 他のゴブリンよりも強いゴブリンが、タツの落とした小太刀と棒手裏剣で邪魔をしてきます。

 2体を抑えていますが足場も滑りやすいですし、いつ崩れてもおかしくはありません。



 短弓形態でゴブリンを近距離から撃つ。

 火のつく御札を巻いた矢は刺さった少し後に燃え上がり、ゴブリンが苦悶の声を上げる。


 重歩兵部隊が陣形を組めたことで戦況はずいぶんと楽になった。

 グレイウルフキングは精鋭部隊と戦っているようだ。

 弓矢と火のつく御札が切れたので拠点へ補給しに行く。(さすがに無料ではないが半額で売ってくれる)


 時間を節約するために『ダッシュ』を使う。

 『バランスアップ』はこんな時にも力を発揮する。なんて便利なんだ!



 しかし拠点の様子がおかしい。

 俺は近くにいたぬるぽ氏に話しかける。


「何があった!?」

「ああ、タツくんが。

 今は件のゴブリンが200体ぐらいつれて奇襲を仕掛けてきて、件のゴブリンはユウト君が戦っているけど相性で苦戦しているところだ」

 そうか、ユウトはフットワークが俺ほどじゃないし相性が悪いな。


「そこの売り子さん!弓矢一束(30本)と火のつく御札1パック急ぎで!」

 ええと、お金は…


「タツくん。ここは僕が払っておくから先に行きたまえ」

「ぬるぽさん…助かった!」


 支払いをぬるぽさんにまかせて俺は急ぐ。


 走りながら『ビルドアップ』と『パワーアシスト』、『スピードアシスト』を掛ける。

 束から矢を1本引き抜き、火のつく御札のカバーを噛み切る。

 火のつく御札を矢に結んで矢文・・のようにすると、スライディング気味にブレーキを掛けながら短弓形態の弓で、槍を持ったゴブリンに放つ。


「グゥ!」

 そのゴブリンは避ける。

 そして敵意をあらわにして睨んでくる。


 地面に刺さった矢は燃え上がるが、まわりには燃え広がらない。


「ユウト!美味しいとこ持ってくぜ!」

「タツさん!お願いします」


 弓をしまって小太刀を構える。


「さあ老害ジジイ。第2ラウンドと行こうじゃねえか!」

「グォォォオオ!」


「グッ!」

 まずは様子見の突きだ。

 俺は右に躱し、距離を詰めようとすると後ろに逃げられた。


「やっ!」

 左の小太刀で槍を弾いて距離をつめようとしたが、ゴブリンはそれを読んで槍を跳ね、上から叩いてくる。

 俺は小太刀を交差させて弾く。


「グオ!」

 するとゴブリンは素早く槍を戻して払ってきた。

 俺は後ろに避ける。

 今回はやけに慎重だ。


 ならば俺から仕掛けるのみ!


「はっ!」

 俺は右の小太刀を縦に投げる。

 ゴブリンはまたかと言わんばかりに槍で弾く。

 俺はゴブリンに突っ込む!


「ふっ!」 

 ゴブリンの袈裟斬りをスライディングで躱し、そのまま足を絡めて引き倒す。

 普段なら効かないだろうが今の地面は滑りやすくなっている。


「とぉ!」

 ジャンプして倒れたゴブリンに馬乗りになり、


「じゃあな」


 …と言ってとどめを刺した。

 ゴブリンは結局最後まで恐怖を顔に出さなかった。


 俺がゴブリンを倒した直後に、ユウトが走ってきた


「あれ、倒しちゃったんだ」

「おう!」

 そして残ったゴブリンを撃破し奇襲は終了した。



「あ"ぁ!」

 女の子らしからぬ気合だが気にしない。

 既にプレイヤーは私以外いないからだ。


 精鋭部隊31名中30名死亡。

 理由はいくつかあるが、

 まず不利な足場での行軍による疲労。

 次にヤツのスペックがβ版の時のグレイウルフキングより強かった事。

 そして『白狼化』による強化の倍率も高かった事だ。


 NPCの話によると『白狼化』というのは、西の草原の東部を支配するグレイウルフキングの一族特有のもので、体力が少なくなるほど強くなるという能力だ。

 名前の通り毛色も段々と白くなる。

 今のヤツは少し白っぽい灰色だ。


 今私の使っている【木刀:無白-ハルカtrチューニング】は非常に丈夫だが、そのうち折れるだろう。

 ならば私にできる事はただ1つ。精鋭部隊の隊長として少しでもヤツの体力を削ることだ!


「いやーっ!」

 何度目かわからない気合と共に放つ一閃。ヤツの体当たりに合わせたそれは、ヤツの毛色を少し白くして…砕けた。



(向こうの拠点の騒ぎが収まっている。アイアス…逝ったか)

 それでも狼は1%以下の望みにかけて駆ける。

 陣形も、拠点も、あまねく全てのものを蹴散らして。



「セドナさん。ゴブリンの襲撃は終わりました」

「そうですか。…!

 マスター!グレイウルフが高速で接近中!およそ3秒後に接触します!」

ぬるぽは疑り深いしサイコパスですが、根はいいやつです

イカれたモンスターを紹介するぜ!

まずヘドロスライム!(失敗作の処理役。混沌にしてカオス!)

次にスライムゴーレム!(ウッドゴーレムをスライムで覆った)

そしてナイトゴブリン!(ゴブリンとグレイウルフをくっつけて、グレイウルフの頭にホーンラビットの角をつけた)

最後にソウコウゴブリン!(鉱物ゴーレムを解体してゴブリンにまとわせた)

以上だ!今回出番はない!


特殊能力

アイアスの説明で特殊能力を一切持たない世界的にも数少ない『高機能AI』保持者って言っていたけど、こんなかんじに多くの『高機能AI』保持者は生まれつき特殊能力を持つ

注意点は『『高機能AI』保持者だから特殊能力を持っていて強い』んじゃなくて『特殊能力を持っていて強いから『高機能AI』保持者になる』ということ


『白狼化』

ミシェルの一族の固有能力。

その持ち主の『死ねない』という気持ち(『死にたくない』では無い)が強いほど強化の割合も強くなる。なので『高機能AI』を持たない個体のものはそこまで強くない

『生きる目的は生きる権利よりも強い』


ミシェルが強い理由

まず運営の調整。前回(ミシェルの父親)があっさりやられたので、今度はスペックを強化しようとなった。これだけならまだ良かった

ミシェルの『白狼化』が強い理由は

父親『群れの長として死ねない』

ミシェル『群れの長として、そして父の敵を取るために死ねない』

それに加えて『アイアスを助るためにも死ねない』


アイアスの最期

まあこんなもの

チンジュ草原北部は北の山脈に近く土地が痩せているので強いモンスターは住めないのと《クロスオンライン》の求める『強さ』は隷下の生物の強さも含まれるので、アイアス本人(本ゴブリン?)は『高機能AI』保持者の割にはそこまで強くない

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