全てを捧げたい
「要するに、雪ちゃんはまだ子供なのよ」
昔からこうだった。
私がお兄ちゃんの事が好きって言うと必ずそう言われる。
女の子同士でのお喋りは、主に服や小物、化粧品、食べ物やお菓子の話題等が前菜、そして……メインディッシュは好きな男の子の話……。
クラスの男子、部活の先輩、役者にアイドル……時々アニメのキャラクター、皆それぞれそういった好きな人を、名前をあげていく。
そして私の番……私はいつもはっきりと言う。
「好きな人はお兄ちゃん」
「へーー」
そう言って誰も取り合ってくれない、誰も本気にしてくれない。
そして、私に、○○君が雪ちゃんを好きらしいとか、格好いい人を紹介してあげるなんて言われる。正直お兄ちゃん以外に興味はない。
いくら言っても、私がどんなにお兄ちゃんを好きか説明しても、誰も信じてくれない。
「興味ないなら無いって言ってくれれば良いのに」
「雪ちゃんはまだお子ちゃまなんだね」
──なんて言われる……。
誰も私の気持ちなんてわかってくれない……お兄ちゃんでさえも。
顔は普通で、身長も高くない、学歴も一応大卒だけど、中学高校には殆んど通っていない。
少しオタクで、元引きこもりで、そして人嫌い、コミュ障……。
お兄ちゃんの事を詳しく聞かれるとそんな事が頭に浮かぶ……。
だから言えない……だからわかって貰えない。
でも……そんな私の気持ちを唯一わかってくれる人がいる。
恵さんだ。
恵さんとお兄ちゃんの事を話す……お兄ちゃんのどこが好きか、なんで好きか……。
答えは簡単だった。
お兄ちゃんは……全身全霊で、自分の全てをかけて、人生全てを投げ捨てて、私の事を愛してくれている……自分の事をここまでかって言うくらい好きでいてくれる。
それは妹として、子供として……なのかも知れない。
勿論実の子供、実の妹ならば、そんな気持ちの人もいるかも知れない。
でもお兄ちゃんは知っている、私は知っている。
私とお兄ちゃんの間に血の繋がりが無い事を……。
それでも……お兄ちゃんは私を愛してくれる。
自分の命よりも私を大切に思ってくれている。
そんな人の事を……そこまで思ってくれる人を、好きにならないわけがない。
恵さんも一緒だ……いつも優しく接してくれるお兄ちゃんに、あの優しい瞳に心を奪われたって……そう言っていた。
お兄ちゃんは私を幸せにしてくれる……全身全霊で、全てをかけて……だから私も返したくなる……恩を、ううん、恩じゃない……好きって気持ちを……愛する気持ちを……お兄ちゃんに返したい。
幸せにしてくれたから、幸せにしてくれるから、私も……お兄ちゃんを幸せにしたい。
好き……好き……好き……好き……。
愛しくて愛しくて……そして苦しくて……辛い……お兄ちゃんが好き過ぎて辛い。
でも……告白して……断られたら……怖い……凄く怖い……。
もし私がそう言って、お兄ちゃんを困らせてしまったら……本末転倒だ。
だから言えない……だから苦しい……。
私はお兄ちゃんに育てられた……私が今ここに居るのはお兄ちゃんのおかげ……。
私の全てはお兄ちゃんの物、私の人生をお兄ちゃんに捧げたい……私を……私自身を……お兄ちゃんに……。
お兄ちゃん目の前で寝ている、寝息をたてて寝ている。
今なら言える……自分の気持ちを……。
「好き……お兄ちゃん好きだよ……もう……耐えられないよ」
涙が出る……お兄ちゃんの事を思うと……涙が溢れる……気持ちが溢れる。
私はそっとお兄ちゃんの背中を掴んだ……起こさない様に、そっと……お兄ちゃんの体温が手のひらに伝わる……。
今はこれで……我慢する……。我慢しなければ……。
私は、お兄ちゃんが好き……ずっとずっと好きだった。
子供の頃から……ずっと……その気持ちは今でも変わらない……そしてこれからも……ずっとずっと……変わらないで居続ける……ずっと……一生……好きで居続ける、居続けられる。
ちょっと物足りなかったので、これで2章終わりで(笑)
ちょいと休んで、3章に続きます。(  ̄ー ̄)ノヨロ




