100%の善意なんてありえません。
扉を開けるとそこには活気あふれる街並みが広がっていた。
リザードマンに獣人、ドワーフ様々な種族が忙しなく街中を歩いている。
その光景はまさしく異世界、アニメやゲームなどで見た光景だ。
「すごい、オレ本当に異世界に来たんだ・・・」
驚きと感動で開いた口が塞がらない。しかしじっとしてるのはもったいない
せっかく異世界での生活ができるんだ。まずは。この街を探索してみよう
行きかう人の流れに逆らわないように街中を歩いてみる。
食べ物屋に道具屋、武器屋や防具屋なんかもしっかりとある。
(そういえばこっちの世界の言葉や文字が分かるのはどうしてだろう。)
疑問に思いながらも大通りを進んでいく。
すると目の前にひらひらと何かが落ちてきた。
何か書かれているみたいなので、とりあえず拾って読んでみる。
『やぁ泰隆君。異世界は気に入ってくれたかな?
一つ君に伝え忘れていたことがあってね、こうして手紙を書いた次第だ。
そちらの言語などが理解できることに疑問に思っているだろうが、
君の年齢で知っているであろうそちらの世界のことはあらかじめ記憶にインプットしておいたから安心するといい。それでは良い異世界ライフを。君の親愛なる神より』
なるほどあの神様がいろいろと気を回してくれたらしい。
何から何まで感謝ばかりだ。
「さてと、疑問は解決したことだしまずは何をしようかな~」
少し腹が減ってきた。だけどあいにく金が一銭もない
とりあえず当面の目標は金を稼ぐことだろう。
しかしどうすれば稼げるのか、バイトでもと思ったが家も身寄りもない
ホームレス同然のオレを雇ってくれるところはあるのだろうか
「困ったな…」
途方に暮れていると一人のドワーフが近づいてきた
「よう兄ちゃん何かお困りかい?」
背丈は小さいが、筋骨隆々のドワーフのおっさんは
にかっと笑いながら問いかけてくる。
えらくフレンドリーに話しかけてきたけど、ここの世界の人は
みんなそうなのだろうか…
「少しお金に困っていまして…」
せっかく声をかけてくれたんだし無視するのは少し気が引ける。
少し警戒しながらオレは質問に答える。
「そりゃ大変だ!俺が力になってやるよ、いい稼ぎ方を知っているんだ」
やはりなんか怪しい。話が進むのが早すぎる。
それに通行人が明らかに周りから離れて行ってるし、離れたところから
こそこそと様子をうかがっている。どうやら面倒なやつに絡まれたみたいだ
「いや、悪いですし大丈夫ですよ。」
ここは無難に断ることにする。
「そんなこと言わないで~ね?話だけでも聞いてみなよ」
面倒くさい。これ話聞かないと解放されないやつ
いや、聞いても解放されないやつだ。
「ちょいとおじさんとゲームするだけだからさ!
君が勝ったらお金あげるから!ね?悪い話じゃあないだろ?」
困った。これ絶対ぼったくられるやつだ。
逃げようにもいつの間にか腕掴まれて連行態勢だし。どうしよう
「本当に大丈夫なんで!離してください!」
とりあえずつかまれた腕を振りほどこうとしてみたがびくともしない
ダメだ逃げられないわこれ、おかしいな幸運になってるはずじゃなかったっけ、早々に不運なんですけど。
「待ちなさい!」
半ば諦めムードで連行されていると何処からか静止の声が響いた
あたりを見回しているとフードを被った女の子?が近づいてきた。
「なんだい嬢ちゃん今から俺はこの兄ちゃんとゲームするんだよ」
「ゲーム?笑わせないで、あなたがしようとしていることはただのぼったくりでしょう?」
フードの女の子はドワーフのおっさんと向き合う。
「変な言いがかりはよしてもらいたいな、証拠はあるのか?」
「あなたがお金のない人に無理やりゲームを仕掛けて、相手が負けたら
多額の金額を請求して払えなければ奴隷商人に売り飛ばしているのはわかっているのよ!」
怪しいとは思っていたけど相当な悪みたいだこのおっさん
オレがそんな目にあいそうになっていたと考えると背筋がゾッとする。
「おいおい、それじゃあ証拠になってないだろう?難癖付けないでくれよ
オレはちゃんとした証拠持って来いって言ってるんだよ」
おっさんは余裕の笑みを浮かべながら挑発している
女の子の顔は見えないが雰囲気的にかなり怒っているように思える
少しまずいかもしれない。
「馬鹿にしてっっ!!!!」
女の子は、腰にぶら下げていた剣に手をかけおっさんとの距離を一気に詰める
その様子をみておっさんは不敵に笑った。
「ストーーーップ!!!」
女の子が剣をおっさんの首に突きつける直前に大声で叫ぶ
二人とも驚いた顔で俺の方に顔を向ける。
「おっさんその勝負受けるよ」
「ちょっあなた何を!」
「ただし少し条件があるんだけど聞いてくれるかな?」
女の子が止めに入ろうと何か言おうとしていうようだが構わず続ける。
おっさんは話の続きを促すように顎を突き出す。
「オレが買ったら金をくれるんだろう?だいたいいくらくらいだ?」
「そうだな200万ユルくらいでどうだろう」
200万ユルってことは200万円か相当な大金だな、、、
たかがゲームでこんなに払うわけない。どうやら女の子が言っていたことは
間違ってない可能性が高いな。
「わかった。オレが負けたときはおっさんの好きにしていい
ただし、オレが勝ったら必ず金を払えよ?しらばっくれて逃げたりしたら即刻そこの女の子に引き渡す。」
「いいだろう、その条件をのもうゲームはポーカーで構わないね?」
「あぁ構わない。」
近くにあったテーブルとイスを借りおっさんと向き合い座る。
「ちょっとあなた何考えてるの!?せっかく助けてあげようとしたのに!」
「ごめん。けどあのままだったら捕まっていたのは君だ、違うか?」
「そ、それは…」
図星をつかれたのだろう女の子は下を向いてしまった。
助けてくれようとしてくれたのは感謝だが、それで自分が捕まってしまったらゼロ点だ。少々かっこつけすぎたかもしれないが、オレのせいで誰かが不幸になってしまうのは絶対に嫌だ。
「カードを配るぞ。」
おっさんは淡々とカードを配る。その顔には余裕が見える。負けるなんてありえないと思っている顔だ。ほぼ100%いかさまをする気だろう。
(さて、こうなると確実に運頼みになるわけだが…)
配られたカードはハートの10・A、スペードの2・7クラブのQ
この時点でワンペアもできてないのは厳しい。
「オレはこのまま勝負するぜ」
おっさんの方はいい役が出たらしい顔は余裕の笑みでいっぱいだ。
「3枚チェンジする。」
3枚捨て捨てた枚数引く。
「おいおいどうした?顔色があんまりよくないね?もしかして外れだったかな~でももう勝負するしかないだろ」
おっさんはほくそ笑みながらカードを出す。
クラブの5・6・7・8・9。ストレートフラッシュだ。
「オレって運がいいわ~まさか一発目でこんないい役がでるなんて~」
「いかさまに決まっているじゃない!!卑怯者!!」
さっきまで下を向いていた女の子がおっさんに反発する。
「いやいや、だから言いがかりはよせってどうした兄ちゃん早くカードを出しなよ!まぁ勝てないだろうけどな!!!」
おっさんは高笑いを上げながら勝ち誇っている。
オレは、そんな中そっとカードを場に出す。
「おぉ~やっと出したかどれどれ?ハートのA・K・Q…!?」
さっきまでの余裕そうな笑みが消える。
様子をうかがっていたギャラリーたちがざわつきはじめる。
さっきまで怒っていた女の子も驚いているようだ。
「ハートのA・K・Q・J・10。ロイヤルストレートフラッシュ。オレの勝ちだおっさん約束守ってもらうぜ?」
オレの勝利宣言とともに周りから歓声が巻き起こった。
「い、いかさまだ!こんなのありえない!!」
「おいおいおっさん。言いがかりはよしてくれよ証拠はあるのかい?」
ありったけの皮肉を込めて言い放つ。おまけにものすごいどや顔まで決めてやる。
「くっそが!!!!」
顔を真っ赤にしたおっさんがオレに飛びついてくるが、
「がはっ」
ギリギリのところで女の子が鞘に入った剣でおっさんの後頭部をぶったたいた
「往生際が悪いわよ、約束はしっかり守りなさい。」
やはりフードにやはり隠れて顔が見えないが多分そうとう勝ち誇った
笑みを浮かべていることだろう。
「くそが払えばいいんだろ!払えば!!」
おっさんは女の子を振り払い札束を机にドンと置くと大勢の人たちをかき分け
逃げて行った。
前までのオレならギャンブルなんて絶対に負けていたが。
どうやら神様にもらった力は本物ようだ。
「ふぅ~~~」
といっても内心勝てるかヒヤヒヤだったわけで、オレの精神はもうボロボロだった。緊張が解け机に突っ伏し少し休むことにした。
こうしてオレは異世界での最優先目標を何とかクリアできたのだった。
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