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わたしの家族は魔王でした  作者: 兎羽
プロローグ
2/3

第1話・人間の赤子を拾った。

どうもこんにちは。

2話目(1話目)となります。

誤字脱字があればすみません。

楽しんで貰えたら幸いです。


(どうしたものか…)


ディザイアは頭を抱えていた。

気まぐれで人間の赤子を拾ったものの、どうするか全く考えていなかったのだ。


かれこれ数百年は魔王として生きているからか、彼は人間や人間社会について疎かった。

この人間の赤子を今後どうすればいいのか、それについてここ数分間悩み続けている。


「…サノアに何か案は無いか聞いてみるか……超めんどくせぇ…」


悩んだ末に、ディザイアは同居人に知恵を借りる事とした。

木籠バスケットを抱え、サノアと呼ばれる同居人のいる部屋へと向かう。

部屋につくと、ディザイアはサノアを呼び出した。


「おいサノア。いるなら出て来い…お前に用があるんだ」


扉の前で高圧的に呼び立てる。

普段、面倒だから自分から赴いたり呼びに行くなんて真似まずしないディザイアが、こういう時だけ都合よく普通に出来るはずがなく。

しかしこの男に慣れている同居人サノアはこれを気にもとめず、明るい顔と声をもって扉を開けた。


「どうしたのディザイア〜、君が僕の部屋に来るなんてめっずらしいじゃーん」


陽気なオーラを振りまきながら現れたその男は、魔王であるディザイアに物怖じしなかった。

何故なら、サノアという男もまたディザイアと同じ魔王だったからだ。

サノアはディザイアの居城に住み着いている『夢中の王』と呼ばれる魔王で、人々に悪夢を見せる夢魔でありながら、人々の夢を喰らうバクの側面を併せ持つ奇特な存在。


幼い少年のような見た目をしているが、これでも完全な魔物でありディザイアと肩を並べる程の魔王なのだ。


「お前の知恵を借せ。簡潔に俺の質問に答えろ」


ディザイアは部屋から出てきたサノアにそうやって聞いて。

ひとに質問する態度では無いのだが、何せこの男は魔王だ。礼節のひとつやふたつ欠けていても無理はない。


「はいはーい。いいよ、このサノアくんが君の力になってあげよう!」


サノアは胸を張って、任せなさい!と言わんばかりに息巻いた。

ディザイアの態度に関しては以前からの問題なので今更どうとも思わないらしい。


「──人間の赤子を拾ったんだが、どうしたらいいか分からない。何かいい案は無いか?」


刹那、サノアの顔から笑みが消えた。

その代わりか、その顔には徐々に困惑が現れはじめた。

(えっ、どういうこと?なんて言った?人間?!赤子?!!あの面倒臭がり屋のディザイアが、人間を拾った!?でも確かになんか珍しい魔力を感じるというか、人間っぽい匂いもするなって思ったけど………“あの”ディザイアが?!!人間の赤子を拾う…??!!)


サノアの思考が混乱を加速させていく。

その時間およそ刹那と等しく。

サノアは己の知る友人なら絶対にやり得ない事象を前にして、目前の友人を疑ってかかる。


「……本当にディザイアなの?それとも嘘ついてるだけ…?」


サノア自身友人を疑うなんて真似普段なら絶対にしないのだが、それさえもしてしまう程にこの現状は信じ難いのだ。

『僕の知ってるディザイアがそんな事するはず無い』

そういった思いが疑心暗鬼を生み出していた。


「誰がそんなめんどくさい事するか。嘘ついたところで無駄な労力を消費するだけだ」

(あっ……これディザイアだわ。こんな変な言い回しするのはディザイアだわ)


疑念は潰え、友人である事が確定してしまった。

もう腹を括ったのか、サノアはディザイアを見上げて問いかける。


「えーと、ディザイア。その人間の赤子って…どれ?僕も見てみたいな〜!なんてっ」


ほら、実際に見てみないとわかんない事もあるでしょ?と後付けして。

こうなったら逆に興味が湧いてきたらしい。

何せ友人の本質を疑うレベルの事象──いいや事件なのだから。

(超が付くほどの面倒臭がり屋のディザイアがそんな事するなんて……よっぽどの事があるに違いない!)※無いです


そして、ディザイアはため息と「めんどくせぇ…」という言葉を漏らしながら、己より背が低いサノアの為に膝を曲げ抱えていた木籠バスケットを見せた。


「これがその人間の赤子だ」

「……」


サノアは驚いた。何か我々にとって不利益になる因子だから拾い、処理しようと画策しているのかと予想していた。

しかしこの赤子にはそれほどの脅威性は感じられず。本当にどこにでも居るような人間の赤子だった。


「…本当に、ただの赤子じゃん」

「だからそう言っているだろう。手間をかけさせるなよ」

「どこから連れてきたの」

「城の前の森に捨てられていた」

(それで拾うとか君らしくないにも程がある……)


あれほど息巻いていたのが嘘のように、サノアはそれはもう毒気を抜かれ、目の前の人の赤子に視線を落とす。

隠居中とはいえ魔王2人に挟まれているのにも関わらず、すやすやと寝息を立てるその赤子を見て癒される自分がいた。


(…まぁ、あれだよね。ディザイアがいいなら僕は何でもいいかな。ていうか今は何か案を出せ〜って時だったっけ……いい案か…)


色々考えながら、赤子の真っ白で丸い頬を指でつんつんしてみる。

ぷにぷにしていて柔らかく、中々の中毒性があった。


「うーん…」

「さっきからお前は何をしてるんだ…?」


赤子の頬に指を沈めては浮かせを繰り返すサノアを訝しげに見るディザイア。

彼はその行為の理由や意図が全く把握出来ていなかった。

やたらと触るなこいつ。ぐらいにしか思っていないだろう。


「あっ、そうだ!いい事思いついたよ!」


ぷにぷにタイムの中で妙案を思いついたのか、勢いよく顔をディザイアに向けて。

しかし未だ手はぷにぷにし続けている。

どうやらサノアはこれにハマったらしい。


「──フェアラに聞こう!!!!!」


自信満々に言っているが、要するに他力本願だった。

フェアラってひとが出てくると思います。

楽しみにして頂ければ〜!

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