表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロジェクト 1

 私は貴腐人である。


 貴腐人ってなんだよ! って思われた方のために、一応説明しますが、要するにボーイズラブ、略してBLを愛する腐女子が高齢化すると貴腐人とグレードアップする。ちなみに30歳がボーダーラインらしいが、そんなものはとっくに飛び越えている。もはや白骨化しているに違いないから貴腐人中の貴腐人だと言えるだろう。


 だが私には、貴腐人に加え、もう一つの顔がある。


 恥ずかしながら私は、BL小説を書いてそれをインターネットで公開している、素人小説家なのである。


 思い起こすと2年以上前、出来心から書いた小説をこの小説家になろうの大人版「ムーンライトノベル」に投稿するようになった。


 ランキングに上がるとお調子乗りの私はいい気になって、ずいずい作品を投稿するようになるのだが、そんな私にある転機が訪れた。


 2017年、俄かにデザインを学びたいなぁと思い立ち、Photoshopフォトショップ、Illustratorイラストレーターでおなじみアドビ製品の初心者講習を受けた際、Indesignインデザインという出版用のデータを作成できるアプリケーションの存在を知ったのである。


 そしてそのIndesignインデザインの使用方法をちょっぴり教えてくれた先生が、Amazonで、自分の作った電子書籍を自由に発売できるということを教えてくれたんである。


 もちろん最初から、自分で出版しようとか、いきなり考えたわけではなかった。


 ほほぅ、セルフ出版とな? それって元手もあんましかかんねーし、定年を迎えたおじいさまたちの自伝書とかそういうの出版するの手伝って代行したら、結構金儲けできるんじゃね?


 とかとか、ものすごい邪な気持ちである。


 しかしいったいどんなサービスなのか知らなければ出版できない。


 それで、恐れも知らず、まずはどんなところなのか見に行ってみようとアマゾンのKDPパブリッシングのサイトへと安易に足を踏み入れた。


 もともとアマゾンのヘビーユーザーだった私は、その前年にはじまったばかりのkindleunlimited(読み放題)の契約もしていて、Amazonのアカウントを利用してなんの抵抗もなしにサインインを果たす。


 ざっと出版社/個人の登録についての説明などを読み、登録できるところはサクサクと作業を繰り返したものの、KDPパブリッシング登録の最大の難関、税に対する情報画面で指が止まった。


 税に関する情報と言っても、実はこれ、日本の所得税の情報ではない。


 アマゾンの売り上げは日本のサイトで出版したものであっても、アメリカで計上されているんである。


 そのため、このサイトで登録する場合、「アメリカでの売り上げだけど、アメリカに住んでないよ、日本だよ~、だからアメリカの税金払わなくてもいいよね~」という届けをしないと、アメリカで収入が有ったとみなされ、税金分が30%も天引されちゃうんである。


 なにそれ、コワイ! って感じなのに、さらにこの情報入力が全編英語で行う必要があるのだ。


 まさに苦行である。


 社会人になって久しいわが身としては、英語というだけで拒絶反応がひどい。


 とにかく心を落ち着けるため、とにかくそういう手順が分かる本はないか調べた。


 そして見つけたのが、アマゾンで電子書籍用のデータを作りあげ自分で出版できるあるガイドブックだった。


 理由があってここでは書名を控えるが、目次を見る限りかなり細かく説明が有り、さらに付録としてAmazonの税の情報を入力するための手順が細かく書いている様である。


 私の求めている本はこれだ! さっそくポチッとなで、購入した。


 新たな武器を手に入れた私は、その書籍に従って、まずアメリカの国税局IRSでTINと呼ばれる納税者番号取得へと着手する。


 なんでもそのTINの番号を税の情報入力で入力する必要があるらしい。


 が、その取得番号取得には、IRSに直接申し込まなければならないのだ。


 郵送、FAX、インターネット手続き等々、いろいろな手法で納税者番号を取得する方法が書かれていたが、私はその中で用紙をインターネットで取得ダウンロードし、FAXで送る手法を選んだ。


 何より郵送はお金がかかるし、返事が1か月以上かかる場合も有るというのだ。


 それならばFAXもあることだし、使わない手はないだろう。


 私はIRSをすぐさまインターネット検索し、そのホームページへ飛んだ。


 次にTINを取得するための用紙、SS-4のテンプレートを探さねばならない。


 ならないが、なかなか探し出せない。


 当たり前のことだがIRSのホームページはすべて英語で書かれているからだ。


 途中、あまりの見つからなさに心が折れそうになったが、翻訳サイトを駆使し、試行錯誤したもののなんとか書類をダウンロードすることが出来た。


 だがそれで終わりではない。


 その書類に個人情報を「英語」で記入して、それをIRSにFAXしなければならないのだ。


 参考にした書籍には書類の記入方法も書かれていたが、出版が3年前ということもあり、すでに書式が変わっていた。


 NOoooooo(のおおおおお)!!!!!!


 叫びたくなったが、神はいた。


 現在の書式の記入方法を懇切丁寧に説明しているサイトが有ったのだ。


 よかったーーーー!!!

 

 安堵した私はサクサクと記入していく。


 大変な作業だけど誰しも同じ道を踏んでいるのかと思うと、少し心が晴れる気がした。


 ちなみにこの時点で、登録をはじめてからすでに1週間くらいが経過している。


 夜の空いた時間に作業していたし、いろいろ調べながら登録していくのは結構疲れる作業だから時間がかかる。


 幸い、Amazonの出版者登録は中途半端な状態でも保存してくれた。


 あとは金融機関の情報と、税の情報の入力が終われば良いだけだ。


 そのためにはとにかくTINが必要だ! 頑張ろう! と、私は国際電話の掛け方を調べるための段取り調べに思わぬ時間を食いながらも、送信先(IRS)の時間に合わせ、深夜に送信することにした。


 深夜三時ごろ。


 間違い電話だけはしてはならないと、最大に注意しながらIRSへとFAXを送った。


 数秒後、問題なくFAXのデータが海を渡り、送信済みの電子音がFAXから聞こえてきた。


 あとは返事が来るまで約2週間、ただひたすら待つのみ。


 その間、私はもう一つの問題に着手するのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ