異世界-宿泊
「しかし、右目にバッドエンドを見る力ですか...」
ニヤニヤしながら俺を見てくるエル。
「なんだよ?」
「いえ、淳二さんもやっぱり男の子だなぁ~と思って」
「は?なんで急にそんなこといいだすんだ?」
「要するに俺の右眼が疼く...っていうことですよね!」
「ッ!そんなんじゃねぇーよ!てか、やめろそのポーズ!!」
エルは右手を右目に当てポーズをとっている。
「恥ずかしがらなくてもいいですよ~私元女神ですよ~寛大なんですよ~」
こいつ、変なスイッチ入ってるな!つか、テンション高くね?
「そんなことよりあれか?イシュタリアは?」
「話変えないでくださいよ~。まぁ、この話はまた今度ということで。はい!あれがイシュタリアですね」
結構大きな街だな。見た感じは普通の街っぽいが異世界なのだから普通ではないのだろう。
街に着くとそれは俺の予想以上だった。街の中を歩き回る。猫耳、犬耳、狐耳の獣人が沢山いるのだ。
「流石異世界。獣人がこんなに沢山いるのか...」
「まぁ、これがこの街のひとつの特色ですね。この街はほかの街に比べて獣人が多く住んでいます」
「へぇ、そうなんだー。なんで?」
「この街は周りは森や川、山など自然に囲まれていて獣人にとっては住みやすいようです」
「なるほど。だから魔物も多いのか」
「まぁ、本来は私が魔物のいないどこかの街に転生させるはずだったのですが...私が淳二さんについて来たばっかりに...すいません...」
顔を俯けて申し訳なさそうにするエル。俺はそんなエルの頭にチョップをいれる。
「よっと!」
「ひゃん!?何するんですか!!」
「お前が変な事言うからだ!俺は自分で望んでお前を連れて来たんだ!それは、俺の責任だしお前の気にすることじゃない!だから、謝るな。わかったか?」
「...はい...すいません...」
「よっと!」
「ひゃん!!」
「だから、謝るなって言っただろ?」
「だからって何も殴らなくたっていいじゃないですか!」
「殴ってはない!チョップだ!」
「同じですよ!...でも、ありがとうございます」
「は?お前ドMなのか?」
「違いますよ!!!」
いつの間にかエルの表情は柔らかくなっていた。
-よかった-
「で、とりあえず宿泊出来るところを探したいんだけどどこかいいところあるか?」
「すいません。そこまでは分からないんですよ。なにせ初めてのこの世界に来たものですから」
「そっか。じゃあ、とりあえず民宿を探すか」
「はい!」