異世界転生5
その言葉を聞いた瞬間俺は前が霞んで見えなかったら。
「泣いているのですか?」
女神様にそう言われて自分が泣いていることに気づく。
「僕は泣いているんですか?もう、自分でもわからなくて...もう二度と会えないと思ってた、1度も会えないと思ってた、そんな人達に会えるかもしれないと分かったら...」
「大丈夫ですか?これは、あなたへのプレゼントだと思ってください!あなたはこれまで沢山の不幸にあってきました。それでも、あなたは他人の幸福を願うことが出来る綺麗な心の持ち主なのです。だから、泣いてもいいのです。今まで辛かったでしょう?苦しかったでしょう?あなたはこれからはあなたの幸せのために生きていいのです」
その言葉は妙に感情がこもっているように感じた。
「はい!僕は...異世界に転生することを望みます!」
「承諾します。では、あなたが叶えてほしい事はなんですか?やはり、家族の暮らしているところに転生とかでしょうか?異世界に転生しても探すのは大変でしょうから...」
やはり、さっきから女神様は時折悲しそうな顔をする。考えてみれば最初に会った時も少し悲しそうな顔で微笑んでいた。もしかして...
「.....きまりました」
「では...どうぞ...」
「はい.....女神様...本当にどんな願いでもいいんですね?」
「?...はい。どんな願いでもです」
その言葉を聞いて俺の心は決まった。
「女神様。僕と一緒に異世界に転生してください!女神としてではなく1人の女の子として!!」
「!?え?本気で言っているのですか!?大体そんなこと出来るわけ...」
「女神様が言ったんですよ!どんな願いでもいいって」
「ッ!それとこれとは別の話です。大体なんで...」
「女神様ずっと悲しそうな顔をしてました。僕がここに来た時もさっき僕に話してた時もだからもしかしたらと思って...」
そう言って女神様の顔を見ると驚いているがその表情には僅かに喜びが見えた。
「女神様は辛かったんですね。多くの死者を見送ることやその死者が過ちを犯すこと。そんな人達を見送ることしか出来ない自分の仕事が嫌いなんですね?」
「.....いつからでしょうか。自分の仕事を誇りと思えなくなったのは女神などと崇められ奇跡というなの力を与えられ他人の望みを叶える自分の仕事に...」
「やっぱりさっきの言葉は半分自分に対してのものだったんですね...」
「はい。だから桐崎さんのような人は初めてで少し期待していたんです。そしたら、本当にあんな願いを言うなんて...」
「あれは僕の心からの願いです。だから、僕と一緒に異世界に転生して僕の家族を探してください!」
そう言うと女神様の瞳から大粒の涙がいくつも流る。
「...はい...私はあなたと共にいます。病める時も健やかなる時も」
女神様はそう言って満面の笑みで僕を見た。それは、俺がここに来てから初めて見る女神様の本当の笑顔だった。