異世界転生2
俺は昔のことを思い出しながら朝食をすませ学校に向かった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、今日の授業は終わった。今日も特に何の変化もないまま学校が終わった。
「じゃあな!桐崎!」
「あぁ、また明日な」
友達は皆部活に行き帰宅部の俺はすることもないのでそのまま家に帰る。
ーあぁそういえば、この辺だっけ?殺人事件があったの...ー
今朝ニュースであった殺人事件のことを思い出し歩き続ける。
ー犯人はまだ逃走中だっけ?ー
そんな事を思いながらすれ違う人の顔を確認する。特に怪しい人はいないようだ。すると、前からは見回りだろうか?警察が歩いてきた。
ーパトロールかな?やっぱまだ犯人捕まってないんだ。ー
すれ違う直前その顔を見て俺は息を呑んだ。そいつは俺から家族を奪った犯人そのものだったからだ。なぜ、警察の格好をしているのか?不思議に思ったがそれ以上に俺の胸には激しい怒りと憎しみがこみ上げてきた。
「おい!待てよ!」
そう言って肩を掴むとそいつの顔は僅かに青ざめていた。
「なんだ!俺はいまパロールで忙しんだ!!用がないなら離してくれ!!!」
なんだ?この動揺?俺に気づいた様子はない。
「なんだじゃねぇよ!お前が俺からすべてを奪ったんだろうが!!この人殺し!!!!」
そう言われたそいつははっきりわかるほど青ざめた。
「はぁ!?何のことだ!俺は知らない!俺は警察だぞ!」
やはりおかしい!俺に気づいてないのにこんなに動揺するだろうか?それ以前にこいつの服装も気になる。
「ふざけんな!お前が8年前に殺した夫婦の息子だ!覚えてないとは言わせないぞ!!!!」
そこでやっと俺に気づいたそいつは不気味に笑った。
「あぁ、あの時の夫婦の息子か!お前も残念だったなぁ!ルールも守れない親に育てられて!あ!?そうか、お前人生の半分も育てられてないんだったなぁ。感謝しろよ俺にあんなルールも守れないクズに育てられずに済んだんだからなぁ!」
「ふざけるな!!!!俺の両親はそんな事はしない!お前が殺したんだろ!本当は青信号を渡ってた両親をお前が!!!!」
「はぁ?証拠でもあんのかよ?証拠持ってこいよ!まぁ無理だろうけどなぁ!」
俺は明らかにそいつが動揺しているのに気づいた。そして、ひとつの結論にたどり着いた。
しかし、その時の俺はもう既に冷静じゃなかった。普通に考えればここで警察を呼ぶべきだったんだ。本当の警察を...
「どうせお前だろ!!この近くであった殺人事件の犯人!!」
「はぁ!?!?何を根拠にそんな事を!!!!」
やはりそうだ!これまで以上の同様を見せるそいつから確信を得た。
「よく考えたらおかしいんだよ!出所したばかりのお前がそんな格好していることもその格好でここにいることも!どうせ、お前が殺して警察に追われてるからってそんな格好で逃げてんだろ!!」
そう言って俺はポケットから携帯を取りだし110番に電話をかけようとした。
「気づかれたならしょうがねぇよなぁ!お前も両親のとこにおくってやるよ!!!!」
そう言って懐から血のついたナイフを取り出し俺に向かってくる。気づくのが遅れた俺はそのナイフが深々と心臓に刺さる。
「キャーーー!!!!」
その現場を見ていた女性が悲鳴をあげる!よく見ると同じ高校の制服を着た生徒だ。
「チッ見られてたか!あいつも殺すしかねぇなぁ!」
やばい!このままじゃあの子も殺されてしまう。俺は最後の力を振り絞って犯人にしがみつく。
「おい!離せ!てか、早く死ねや!」
そう言って何度も俺の背中にナイフを突き刺す。
ーせめて、あの子が出来るだけ遠くに逃げるまで...ー
意識が遠くなる中パトカーと救急車の音が聞こえる。俺の拘束を解いた犯人は逃げようとするがすぐに警察に捕まる。
「大丈夫ですか?意...は...あ....す...」
どんどん声が遠くなっていく。そうして、俺は死んだ。