異世界-バカップル?-
こうして正式に彼氏彼女になった俺とエルだが未だに互いに距離感が掴めないでいる。
-まぁ、俺は付き合うなんて初めてだしな。-
因みに初恋は幼稚園の先生である。
-エルも女神だったから付き合うとかもないだろうし-
「...手でも繋いでみるか?」
「は、はい!」
俺からの提案にエルは少し驚いたようだか嬉しそうに頷いた。
「まぁ、手繋いで武器屋に行くってのもなんかおかしいけどな」
「そうですね。でも、私は繋ぎたいです!」
そう言って俺はエルの手をとる。とても柔らかい。女の子の手ってこんなに柔らかいんだ。
-大丈夫かな?手汗とかかいてないかな?-
そう思いながらエルを見るとエルは真っ直ぐ前を向いていた。どうしたのか?と思い顔を覗き込むとエルは目線を逸らしてしまう。
「おい。なんで、目を逸らす!」
「そんなことないですよ。淳二さんが気にしすぎるだけです!」
俺は少しムッ!としたので手を繋いでない左手でエルの左の頬を掴み無理やりこちらを向かせる。すると、エルの口元はとても幸せそうに緩んでいた。
「お前なんでそんなニヤニヤしてんだよ!」
「だって、こんなの初めてですし!それに自由に恋愛や買い物できるのが嬉しくって...だから口元がどうしても緩んでしまったのであんまり見られたくなかったんですよ...」
「別にそのくらいよくないか?」
「だって...淳二さんには可愛い私を見て欲しかったので...」
-あぁ、もう無理!可愛すぎる!!!大声で叫びたい!俺の彼女可愛すぎません!?-
思わずニヤけそうな口元を隠す。
「お前はいつだって可愛いよ...」
「なんで口元隠して言うんですか?」
「いや...これは...」
「なんですか!隠さないでください!」
そう言って俺の左手を掴み口元から動かす。俺の口元はニヤけたままだ。
「なんでニヤニヤしてるんですか?!どうせ私のことバカにしてたんでしょ!」
「そうじゃねぇーよ!それは...お前が...か...た...から」
「?なんですか?違うならたんだって言うんですか!」
「だから!お前が可愛かったからだよ!初めてのことに幸せを感じてるお前も可愛く見せようとそれを隠してるお前も!」
互いに赤面する。
-これ、確実に周りの人から見たらバカップルだよな...-
「そ、それならいいですけど...」
「おう」
そう言って俺たちは武器屋に歩き出す。