異世界-目標-
「とりあえずこの世界での当分の目標を確認しよう」
「そうですね!それがいいですね!とりあえずですね!」
何故か目が泳ぎまくっているエル。
「何をそんなに強調する必要があるんだよ」
「そんなこと、私の口から言わせるつもりですか!?」
は?何を言ってるんだこいつは?
「まぁいいや。とりあえずはこの世界で俺の両親と妹を探すってことでいいか?」
「はい。それが元々の目的だったので。私は淳二さんに従うだけですよ」
「そうか。因みに俺の両親たちがどの街にいるかはわかるか?」
「いえ、それは分かりませんけど静かな街で暮らしたいという要望でしたのでナタリアかヴァストリアかジルリアですかね?」
「ジルリア?それって通貨のジルと同じか?」
「はい。ジルリアはこの世界で一番大きい都市ですね」
「?大きい都市なら騒がしいんじゃないか?」
俺の疑問にエルは笑顔で答える。
「そうでもないんですよ。確かに都市の1部は騒がしいですが、都市の中心部から遠い場所は比較的静かで落ち着いた場所ですよ」
「そうか、じゃあここから1番近い街はどこだ?」
「1番近いのはヴァストリアですね」
「そこはどんなとこなんだ?」
「ヴァストリアは静かなんですけどそれは理由があって魔族が多いんですよ」
「魔族!?それって危ないんじゃ?」
「いえ、魔族と争ってたのは昔の話で今は交易などをしていい関係を築いてますよ」
そんなもんか。と感心しながらもう一つ疑問だったことをエルに聞く。
「なんで、魔族が多いのと街が静かなのは関係があるんだ?」
「それはですね、魔族は基本的には夜行性なんですけど夜は街の外で魔物を狩る狩りを行うんですよ。そのため、昼は魔族は寝ているし夜は街に魔族がいなくなるので静かになるんです」
「なるほどな...じゃあとりあえずヴァストリアに向かうってことでいいか?」
「はい。でも、とりあえず装備だけはきちんとしときましょう!」
「そうだな。その点は金はあるから大丈夫だろ」
「そうですね」
「じゃあ、これで当分の目標は決定かな」
「はいそうですね...」
何故かまた目が泳ぎ始めるエル。俺が風呂に行こうと動くとエルは体をビクつかせる。
「なんだよ?エルお前さっきからかおかしいぞ?」
「今から何をしようと...?」
「は?風呂入りたいんだが...」
「あ...そうですよね...やっぱり体は洗っとかないと.....汗臭いのは嫌ですもんね.....」
顔を真っ赤にしてそう言ったエル。
「?お前から先に入るか?」
「え?」
「女の子は綺麗好きだろ?」
「まぁ、そうですけど...」
「じゃあ先に入ってこいよ。俺は待ってるから」
「...わかりました。でも、変なことしないでくださいよ!」
「変なことってなんだよ!!」
そう言いエルは風呂場に向かった。
「あれ?そう言えば服って替えなくね?」
それに気づく頃には風呂場からシャワーの音が聞こえていた。