優劣疲弊
下を見ればきりがない
上の人を見習いなさい
できるように努力をしなさい
そのようなことを言われ続けてきました
だから努力を続けてきました
それが原因かはわかりません
私はセミの抜け殻のような
中身の詰まっていない
スカスカな人間になってしまったようです
中身はとうの昔にいなくなり
残っているのは現実世界にしがみついている殻だけ
どんな気持ちでしがみついているかなんてわかりません
ただ不思議と感じてしまうのです
私がこうなったのは必然であったと
心が弱い私は感じてしまうのです
下にも上にも私以外にもたくさんいます
どんなに上を目指しても
絶対に終点が見えることはありませんでした
それでも頑張る
自分がより上へ行けるように
すり減らしながら
自分より下の人間は自分より頑張らなかったやつ
自分より上の人間はこれから追いつき追い抜く敵
周りの人間をいかに出し抜いてやろうか
最初は無自覚でした
しかし,ある時私は気が付いたのです
自分を含めた周りの人間に優劣をつけていることに
それを大したことないといえるほどの人間だったら
どんなに楽だったことでしょう
今とは違う結果になっていたことでしょう
だけど私は
人に優劣をつけることが
どうしようもなく浅ましいことのように感じてしまったのです
それに気が付いてしまってから
私自身,浅まく醜い人間であるように感じられてしまったのです
それだけではありません
それに気が付いてしまってから
私自身,やりたいことが全くないことに気が付きました
今まで,人の上下・優劣しか意識していなかったからです
そうして私は私がわからなくなっていきました
私自身がとても空虚なものに思えるのです
私自身がひどく醜くゆがんだ何かにしか思えないのです
どうやら私は
このような人間社会で生きていくには
いささかひねくれすぎたのかもしれません