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LXXⅣ  卍 アカデミーアウォード 卍


 いっぽう先月の米国アカデミー賞。ご存じのように作品賞は韓国映画【パラサイト】でした。

 だからって腐すわけじゃないので念のため。


 直近15年のアカデミー作品賞を3タイトル挙げろ、といわれたら誰もが答えに窮すると思うのだ。アカデミー賞は2003年の【ロードオブザリング/王の帰還】を最後に社会派の……つまりアメリカ国内の情勢を反映する作品が選ばれる傾向になった。

 娯楽満載映画が忌避されるのは日本の映画批評業界と同じ。そして社会の風潮が変化するたびに選定作品の傾向も変わる。

 去年を例に挙げれば底辺映画【パラサイト】と【ジョーカー】の一騎打ちになった。これじゃ【天気の子】がノミネートされるような雰囲気ではない。


 日本に比べると、しっかり集客実績のある優れた作品が選ばれるけど、【マッドマックス/怒りのデスロード】や【ボヘミアンラプソディー】はノミネートはされたものの、受賞はしなかった。

 そんなだから受賞作の印象も風化しやすく、日本人にはいまいちピンと来ない作品ばかりなのだ。なので正直、韓国に出し抜かれてもぜんぜん気にならなかったりする。


 とにかく最近のアカデミー賞ってゲイとか黒人とか「事実に基づいた物語」とか社会派の内省的な作品ばかりになって、アメリカ市民のコンセンサスさえ得難くなってしまったため、去年なぞ 「アカデミー・民衆が楽しんだで賞」 を設けようという動きまであった。【スターウォーズ】や【アベンジャーズ】に何かしら賞をあげないと関心を持たれなくなっちゃうからだ(事実プレゼンターの自虐ギャグで視聴率を持ち直していた授賞式も、3年前にその路線をやめてから視聴率が落ち込むばかりだ……なんせ肝心の受賞スピーチがテンプレ化してて一番つまんないから)。

 それはさすがにボツになったけど。その代わりアカデミー選定会員にレディーガガとか招いてリフレッシュはした。


 とはいえ基本的に、アメリカ人の眼はヨーロッパに向いているため、カンヌやベルリンなどと同等の格調を得ようと躍起なので、本質は変わらんと思います。



 映画なんて画面奥からまっすぐ迫り来る機関車を見せて「ワォおったまげた!」ってのが出発点なんだからさ……あんまり大学出の批評家のほうばかり意識してちゃダメだよね。これは日本でも欧米でも同じ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  今回取り扱われた内容のようなアカデミー賞の審査傾向やムーブメントの動向などはよほど気にかけていないとまるで気がつかないような話だったのでとても興味深く読ませていただきました。最近私などが洋…
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