LXⅣ 卍 【悲報】 『○○○』名言がない 卍
最近ネットでよく見かける見出しが 【悲報】『○○○』名言がない(『○○○』にはマンガやアニメのタイトルが入る)
まるで、名作は名言を含んでいないとイケナイかのように。
この判断基準の数量的なところがいまどきというか、マークシート方式というか、作品評価の基準を「自分が好きだから」では済ませられず、意味がないくらい多人数のコンセンサスが得られないと名作って認められないような。たぶんソフトの売り上げや興行収入ばかり気にして、肝心の中身そっちのけな評価の人たち。
【シンゴジラ】のときにも似たような違和感を感じた。いわく、あの映画はハリウッド映画の文脈に沿ってないから「ダメ」なんだよという、否定的見解……
だが、ばか抜かせ。
【シンゴジラ】はタイトルの通り、1954ゴジラを現代的にリブートしただけの話。つまり今、リアルな現代の日本にゴジラが現れたらどうなるか、というシミュレーションを、できるかぎり原典に沿ったままリメイクしたのだ……超兵器オキシジェン・デストロイヤーを出しちゃうと石原さとみ以上に作品を損ねちゃうから避けたみたいだけど、クライマックスがラストに無いのも原典どおり(芹沢博士とゴジラの最終決戦はじつに淡々としている)。
否定派はゴジラが【ワイルドスピード】みたいな映画になってれば「正しい」とでも思うのだろうか。そこら辺にゴロゴロしてるB級アクション映画に?
そのような「国際基準」に沿ってないからダメだという輩は、同時に日本国内作品の海外評価をたいへん気にしている。外国人に褒められると純朴な子供みたいにはしゃぐのがこの国の病ですね……。宮崎監督作品から新海 誠まで、ファンもアンチもガイジンに褒められるのをじっとり待ち構えている。それが名作認定に欠かせないトロフィーだというように。
肝心のクリエイター諸氏はあんま気にしてないっぽいのが皮肉ですが……それも宮崎、庵野、新海と国内ヒットを飛ばす人ほど、自然体というか、海外評価は意識してない(ように見える)。
ことアニメに関するかぎり【千と千尋の神隠し】がブレイクしたのはもう17年も前。ジャパニメーションが海外に注目されたのはその数年後、【ハルヒ】あたりがピークで、その後は緩やかな衰退の一途を辿り続けている。
先日たいへんショックを受けたのが映画【スパイダーバース】であった。なにがショックって、あの映画に出てくるペニー・パーカーちゃんという「日本アニメ風女の子」である。
アメリカ人は、もうすっかり「日本オタクの文脈」を吸収してしまったのだ!!
だからクールジャパンで提唱される「世界に冠たる日本のオタク文化」なんてものはもう過去の遺産としてリスペクトされてるに過ぎない、と考えたほうが無難であろう。
なにか斬新なものを繰り出さないかぎり、半分死んでるのは誰でも気付いていると思います、が、作り手も消費者も老衰しかけてる昨今「次の旗手」がなかなか見えてこないのがアレですね……。
べ、べつに映画【パラサイト】アカデミー四冠が悔しくてこんな文書いてるんじゃないんだからね! 中国SF紹介したばかりのわたしがそんなことするわけありませんよ?




