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ⅩLⅦ 卍 決壊しかけてる堤防 卍


 昔の話だが、たけしがラジオで知り合いの画家だかイラストレーターと話をしていた。

 それによると、絵心のある人間なら、まず例外なくエロ画を描いているという。公式にはそんな()のない大先生でも、親しいお友達には秘蔵の品を見せてくれるそうな……


 その裏付け、といったらめっちゃ強引だけど、去年には手塚治虫先生のケモナー系チラ裏エロ落書きが公表されていた。

 そしてもうひとりの巨匠、宮崎 駿氏はご存じの通り、クラリス・ド・カリオストロという有名ヒロインによって日本人に「ロリコン」という概念を知らしめた御方である。表現巧者であるがゆえにうっかり余計なビームを放射してしまったというか……


 まあ富野監督とか押井監督とか大御所もヒロインについて独特の哲学をお持ちでしたし、ある意味、たまにポロッと垣間見える変態性もクリエイターの奥行きであり、作品に妙味を付加する源であるのでしょう。


 しかし有名人を引き合いに出すまでもなく、自分自身の経験から、その説はかなり信憑性があると思うのです。

 快楽曲線とは川の流れのごとく、安易安直、堕落のほうに流れ落ちてゆく。

 古くはコミケの二次創作より、創作活動におけるエロエロ欲望追求は濁流のごとく。大半はウマヘタでデッサンもろくに習得しないまま、ご無体な巨乳、フタナリとか欲望に任せて突っ走ってますよね。まあオナニーですわ。人間は100%自慰する生き物だって保健体育の先生も認めてますし、しかたありませんでしょう。

 しかしながら人間は意志力で成長する動物。それだけに満足できないと、もっと上手になろうと決意する。プロの漫画家になりたいとか、なんでも結構ですがいつしか「こころざし」が芽生える。


 これが分岐点。


 コミケ住人の人数に対するプロの割合からして、上手になれる人の数は限られる。高みを目指す……つまり川の流れに遡上するのは大変な気力が要るからです。

 最近の傾向で言えば、エロだけ状態から離脱できても、煌びやかなドレスの可愛らしい女の子絵、しかも斜め前からのバストアップで満足しちゃうような。ラノベ絵師はほとんどこのレベルでしょうか。

 「それ以上」となると全身像、手指のデッサン、さらに男の絵、老人動物背景……とハードルは果てしなく上がってゆく。

 

 でも……そのハードルをクリアできると、楽しいんです。世界が広がる。

 そしてそんなレベルに達してなおエロ漫画家になってしまう人も大勢いる。奥行きの広がった世界を作り上げた上で女の子にキャラクターを持たせ、それでイヤラシー妄想掻き立てたり、さらに楽しいから。

 そんなのを芸術レベルまで高めちゃった人は敬愛する空山 基画伯をはじめとして、史郎正宗はおっぱい小説【邪神ハンター】の挿絵以来あっちに振り切ってるし【無限の住人】の沙村広明はエログロイラスト画集を出して「ボク自分の絵でいけるんです」と公言してたり、沢山いらっしゃる。


 その段階まで登りつめると、ふつうは社会的地位とかいろいろ邪魔されて性癖を出せなかったり、あるいは意識高い系になって攻撃的にエロ批判するほうを選んだり人さまざまですが、自分はこうも思うのです……

 つまり、とても他人に言えない妄想で自分が作り出したキャラを陵辱した経験のある人のほうが、逆方向の美意識……それこそ完璧な聖処女的ヒロイン像も抱けるのではないか……と。

 なぜかというと、おそらく羞恥心、あるいは贖罪的な何かが、そっち方向にも突き動かすからですが……それにさ、汚泥に浸かってこそ対比としての美しさも見極められると思うんですよね。

 スゲー暴論ですが。

 そしてそこから這い上がれるか自慰を続けるかは、ひとえにその人の資質や意志力次第でしょう。デカイ闇を抱えて、その闇を認めたうえで違う人間になれるか、うそぶくか、猿のままでいるか……

 実際淡泊そうな人ってヒロイン像も(主人公像でさえ)薄っぺらいんです。【ルパン三世】と、同系統の【シティーハンター】なんてそんな対比の良いサンプルかな。


 その説が正しいと宮崎御大はド変態になっちゃいますけど


 御大も富野監督もおたく大嫌いだしね


 近親憎悪かもね



卍卍卍


 まあとにかく、日本ではヒロイン像を構築することが上から下までじつに多くの創作の中心に据えられてるのです。このへん、アメコミ作家などは創作ワークショップや美大で学んだというのがゴロゴロいそうで、スタート地点からの違いが作風に表れてる気がします。


 上記の絵に関する諸々は小説にも当てはまりますよね。

 「ちゃんとしたドラマを読みたかったら本屋に行くから、なろうではまったりさせてよ」という意見もあって、苦言を呈するのは野暮かとも思います。実際テンプレ上等ななろう小説って、因習的な小説とは別のなにかに変貌してて、いまは過渡期なのかもしれないし~(棒)。


 だけどひとつだけ言えること。

 いまのなろうユーザー、とくに読者さんの多くに見られる傾向……いやネットのお兄ちゃんたち全般に見られる、非寛容、想像力の欠如による変化に対する嫌悪、根強い先入観固持、時代の流れに沿わない女性蔑視、「毒者」という言葉に顕される短気短絡、沸点の低さ等々……


 その姿ってなにとイコールだと思いますか?


 昭和のお爺ちゃんたちです。


 そう、ネット民が侮蔑する団塊世代と哀しいくらいおんなじなのです。

 違いと言えば性的にナイーブになり、かつ慎みが無くなった(アニメラノベはともかく地下鉄のマスコットから自衛隊の勧誘ポスター、絵本まで萠絵が氾濫している状態のこと)という点のみ。


 筆者の抱く危惧を理解してもらえますかね?


 この傾向は、こと読者に関しては、時代の流れゆえ決壊する堤防に指突っ込んで阻止するのごとく、心配しても無益なんですけれど、なろうの作者にはそれに抵抗する術がある……と思いたい。


 そのためには想像力……つまりキャラを複雑怪奇な状況に追い込んで酷い目に合わせたりぶっ殺したり、果てしなく自由に、想像力の彼岸に達するまでやってみるしかないと思うのです。

 啓蒙とか胡散臭いので書きたくないけど、たとえばポルノ小説家って文章上手ですよね。極限状態の心境とかへんてこな説明に血道を上げざるをえないから。


 つまりそっから始めろってことよ!!(最後の最後に暴論)


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