ⅩⅩⅡ 卍 女子レスリングの例のアレ 卍
伊調 馨選手をめぐる騒動。
日本人の進歩の無さを痛感する出来事がまたひとつ。
あの騒動を精査して真相を探るなんて作業は時間の無駄。
古田と選手会の騒動のときにナベツネ様が「バカなことを言うなよ。たかが選手が」と言い捨てた、それが日本人とアスリートの社会的関係をすべて語っている。
「たかが選手」
日本では、技巧を持った人が真にリスペクトされることはないのだ。
運営者たる(つまり社会の重鎮と自認してる)役員はビジネスクラスで選手はエコノミー。この件ひとつだけでもどう考えてるのかは明らかでしょう……選手ファースト?誰も本気で思っちゃいないこと良く言えるよね!
アメリカではそれが嫌で選手やアーチストはすべて代理人を立て、法律でがっちり自分を守り最高年俸を約束されるまで仕事をしないようになった。
あの国でもほんの30年前までは日本と同様だった。プロボクサーは搾取され引退後は無一文になり、【スーパーマン】の原作者は映画化されても一銭も貰えなかった。
彼らはそれを是正した。
その結果びっくりするような高額契約話を頻繁に聞くようになったが、それは悪いことではないのだ。だってカネをしこたま貯め込んでる会社から搾り取ってるだけですから、いわば現代のロビン・フッドでしょう?実際欧米セレブって社会貢献にも熱心だし(偽善とか節税対策とかうるさいこと言うの禁止)。
でも日本人はそういうのをどこかで嫌悪してしまう。
【和を尊び】の暗黒面がここにある。
調和を好み出る杭は打つ。
ひとりだけがっぽり稼いでいるヤツはうらやましいので叩いても構わない。
目的に一途でそのために我が身を守ろうという個人は異物として排斥しようとする。
テレビでわれわれ民草の暇つぶしになる程度の無害な人物であれと同調圧力をかける。
これはQちゃん(高橋尚子)がオリンピックで金メダルを取ったあと態度が豹変して、同時に成績も伸びなくなったときにも感じたこと。それまではウォークマンで音楽を聴きながらホップステップするような明るいキャラだったのにメダル後は妙に改まった態度で、たぶん誰かに「メダリストなんだからもっとしっかりしなさい!」とでも言われたのだろう。
社会に容認される鋳型に押し込んだ結果、彼女から個性も才能も奪ったのだ。
それなんの根拠もない想像でしょ?と言われればそうだけど、Qちゃんは現在婚期も棒に振るほどのパチンコ依存症だ。何もなかったと考えるほうが不自然。
その手のことは日常に行われている。
人間、徒党を組むと馬鹿になる。そしてその馬鹿さ加減はまず想像力不足に顕れる。そういう、許容量の低い人間にとって特別な個性や才能はケチな情緒を掻き乱す癌細胞でしかない。なので許容量以下の鋳型に当てはめようとするし、支配できると安心なので強権的にコントロールしようとする。
まこと日本的です。それに戦後20世紀から進歩してない。本音とタテマエは絶対なくてはならない、という法律があるみたいです。学校では習いませんが。
少年サンデー編集部が所属漫画家を粗末に扱ってたのも同じことでしょう。
広義にはアニメーターの年俸やカラーイラストを一枚3,000円で買い叩かれるイラストレーターもおなじ。才能に対するリスペクトがなく「好きなことやってるだけなんだからお金いらないでしょ?」となる。才能を潰したり極端に言えば死んでも社会的損失とは思わないし、それで良心が痛むことはない。安心できるから。
勉強はできたけど特別な才能はなかった……そんな人が大勢暴れてるのがいまの日本です。人間としての素養の低さがすぐに表に出てしまうし、叩かれても肥大したエゴが邪魔して「ごめんなさい」と言えません。 政治屋さんにもいますね。
伊調選手が「選手権で勝つために練習したい」という素朴な希望を貫くためには、究極的にはアメリカの真似をするしかないのです。
でもそれって実現不可能なので哀しいですね……功績に対する敬意は払われず「生意気言うんじゃないばかな女め!(警察も体育大学も男社会だから当然こう言う) おまえなんぞ年齢的に期待してないからいらんわ!」と圧殺されようとしてて、救いはないのです。
こんなことをなろうで叫んでも的外れじゃあるまいかと思うでもないけど、前の「ひんこん」と「犯罪と人種2」にも関連している気がする。
どうもわが国は文化的に自殺しようとしてるように思えるのです。
アニメ会社は、お金を払って「なんでも良いから作ってみて」というネットフリックスに走ってるという。
「艦これ」と中国資本の「アズールレーン」が良い勝負してるのは、イラストレーターをより高額で釣ってるからでは?
来年には夜中アニメが無くなり、ネット配信に頼り切ることになるかもしれない。そんな動きばかりになって娯楽からなにから外資系に乗っ取られて、取り返しがつかなくなっても手遅れですからね。