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アニメ産業、その利益と労働の現状


 大量のアニメ、マンガを作る日本。それだけ作るのならば余程の利益がある、と考えてしまう。

 だが実状を調べるとその実態は驚くものである。


 ここでアニメ業界で働くとある人物の仕事を見てみよう。


――アニメの色つけ――


 過去にはセル画と呼ばれる透明なフィルムに直接塗料を塗り、鮮やかな色彩のアニメが作られていた。

 デジタル技術の進歩により今ではパソコンを使った彩色作業が主流となっている。

 この彩色作業を仕事にしている人物の労働状況は過酷であった。


 9時に出社、仕事が終わるのは残業を含めて20時から22時。1日約12時間の仕事時間。

 出勤は月曜から土曜まで、納期に間に合わなければ日曜出勤もある。納期に間に合わせる為に会社に泊まることもしばしばある。

 これだけの労働時間である中で、彼の収入は月に8万円なのだ。

 彼の収入は8万円で固定というもので、残業や休日出勤を断ればペナルティとして給料から減額される。

 病気などで仕事を休んだ月には月給7万、6万というふうに減額されるのだ。


 この月給8万円という金額がどれ程の金額なのか、この日本という国の中の生活保護と比べてみよう。


 生活保護は病気や怪我、障害などで満足に働くことができない人が国から支給されるものであり、個人ではその額、月に約10万円。

 この生活保護の額の基準は日本国内において、『最低限度の人間らしい文化的な生活』を暮らすことができる金額、とされている。


 アニメの色つけをしてる彼の収入は月に約8万。

 この収入では日本国内では最低限度の人間らしい文化的な生活をすることが不可能、ということになる。


 日本のアニメ産業、その現場で働く人達は彼のように安い給料で働く人達が多い。


――アニメの演出――


 アニメもまたドラマや映画のように演出が必要になる。

 このアニメの演出の仕事は1本約10万円といったところ。

 1本の仕事に二ヶ月かかるためにこの1本の仕事に集中すると、月給としては5万円ということになる。

 収入を増やす為には2本、3本と仕事を掛け持ちすることになるが、そうなると当然仕事量は2倍、3倍となる。

 3本の演出を掛け持ちした人物の例を上げると、1ヶ月の中で自宅に帰れた回数は僅か2回である。


 アニメ産業、その現場で働く人達は驚くほどの低収入でありそれが当たり前というのが日本の常識であるらしい。

 このことからアニメ産業自体、利益率の高い業界では無いことがうかがえる。


 また、昨今ではデジタルコンテンツの違法コピー、インターネットでの不正使用などアニメの製作会社にその利益が還元されない状況ができている。


 とあるアニメの製作会社ではそこで働く人達から机代を請求したことが問題となった。

 会社で働くということは会社の機材、道具を使用するということである。

 この会社では会社の道具と机を貸し出すという名目で、働く人達から月2万円の机代を請求していた。

 普通の会社では考えられないようなことではあるが、利益率の低いアニメ業界ではこういうことをしなければ経営できないというのが実状である。


 今もアニメ業界では給料の未払い、給料の支払いの滞納、遅延が問題となっている。


 あるアニメが人気を得て好評の内に続編を作ることが決まった。

 しかし、作られた続編のアニメは続編でありながら絵柄が変わったということで不評となった作品がある。


 作画監督が続編の仕事を断ったことがその原因である。

 この作画監督が仕事を断った理由が、アニメ製作会社の給料の未払い。

 好評を得た作品を作ったアニメ製作会社でも、そこで働く人達に満足に給料を支払うことのできない日本のアニメ産業の実態がある。


 出版業界も不況であり、マンガ、小説もまた年々利益が減り続けている。

 今では、マンガ家だけでは生活できない、小説家だけでは暮らしていけない、などと言われる時代になっている。


 そんな状況でありながら今もまだ、大量にアニメ、マンガを作り世界に発信する日本。

 なぜ日本人はそこまで物語を作ることに拘るのか、それを理解するには日本人の長い歴史から作られた独自の民族性を紐解かねばならない。



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