表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/200

15話 茉莉の回想ー03


事態が余りにも自分の想像を外れた時や、

堪え切れない恐怖に襲われた時、

人は、笑い出してしまう。という様な事を、何かで読んだ様な気がする。


が、その時の僕は、ただただ呆然と、その場に突っ立っていた。


意味が分からない。

人が消えるなんて事。




「……………………………………ッ!!?」

駄目だ。

何で。

よりによって、こんな時に。

僕は、亜空と、栞を、ベッドに………運ばないと……………いけない………の…………に…………



――――――――――――――――――

――――――――――――――――――


コツリ、コツリ、と耳に障る音を響かせて、男は僕の周りを、ゆっくりと周る。

きっと、僕をいらだたせる為に、わざと足音を立てているのだろう。


「茉莉君。いよいよ実験を始める訳だけれど、何か言っておきたい事はあるかなぁ?」

語尾を上げて、猫なで声で、そう聞いてくる。


「………………」


「おやおや、無視するなんてひどいなぁ。」


「………………」

それでも無視を続ける。

出来る事なら、コイツとはもう一生喋りたくない。


「まぁそれもいいと思うよ。個人の意思は尊重されなければならないらしいからねぇ。黙秘権とかいうやつ?」

ククク、と意地の悪い笑いを語尾に被せる。


意思を尊重するのなら、まずはこの縄を解けよ。


医師は、にんまりと気味の悪い笑みを顔に張り付かせ、言葉を続けた。

「じゃあそろそろ始めようか。今回の実験が上手くいけば、君達の持つその忌々しい【能力】についての研究が、一気に進展する事は間違いない。」


「………………」


「だからそんな顔をしないでくれよ。よりすぐりの子を選んでおいたから、きっと君もすぐに気に入ると思うよ。新しい生活が。」


医師が、白い液体の入った注射を、僕の腕にした。




そして僕は、だんだんと意識が遠くなっていくのを感じた。

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ