13話 壊れてしまったその部屋でー06
僕の腕の中で、頴娃君は泣いている。
もう恥ずかしいとか言ってられない、とか、ここが頴娃君が人を信じられるかの重要なポイントだ、とか、こんなのは僕のキャラじゃないのに、とか、
様々な思いが心を巡ったが、
僕は、結局頴娃君を抱きしめてあげた。
少年の孤独な気持ちは、痛い程に分かるから。
否、分かっているつもりだから。
それを少しだけでも、取り除いてあげたい、と思った。
「……………もう、大丈夫です。すみませんでした。」
しばらく声を嗄らして泣いていた頴娃君は、そう言って僕から離れた。
その顔は、迷いが取れたように、幾分スッキリしているように見えた。
それが僕の思い込みでなければいいけど。
「すみません、みっともない所を見せてしまいました。」
「うん、もう大丈夫みたいだね。」
「ええ。何だか楽になりました。今まで一人で抱えていた悩みを、吐き出してしまったからでしょうか。ありがとうございます。」
「いや、お礼なんていいよ。」
ちょっと恥ずかしい。
「皆さんにちゃんと謝ります。許してくれないかもしれませんが、それはもう仕方ないですし。」
「きっと皆許してくれるよ。」
「………そうですね。本当に、貴方に会えてよかった。………………まずは、亜空さんと栞さんをベッドへ運び―――!?」
「どうしたの?」
頴娃君が、何かに反応するようにピクリと震えた。
そして、何かを考え始めた。
「………これは、………という事は、………まずい、ですね。」