8話 壊れてしまったその部屋でー01
「……………っつ。よっ、っと。」
身を隠した本棚から這い出す。
体中いたるところが、ぎしぎしと痛む。
幸い、大怪我はしていないようだが、この感じだと明日の朝の筋肉痛が怖い。明日一日、動けないんじゃないかコレ?
つつ、と、顔に冷たい雫が当たった。
―――雨、か。上手く、行ったのかな?
天井を見上げる。
否、天井だった部分を見上げる。
黒色の煙を上げる骨の隙間から、灰色の曇り空が見えた。
視線をほんのわずか右に転じ、天井を破壊した原因へと焦点を合わす。
恐竜の骨は、時折バチバチと音を立てている。
………電気製?それとも―――とにかく、急に動き出す、といった心配はないように見える。
みんなは何処だ?無事なのか?
周りを見渡すと、最初に亜空が目についた。
瓦礫の隙間に、うつ伏せに倒れている。
「亜空!!」
と大声を出しながら近寄る。
「大丈夫か!?」
「…………よぉ茉莉。無事だったか。他の奴も、上手く【広げ】られてるといいが。………あぁそれと、どちらかと言えば、なんて言うまでもなく、大丈夫じゃないぞ。もう限界だ。俺は寝るから、後は頼んだ。」
そう言って直ぐに、亜空は意識を失った。
寝る、と言ってはいたが、これは…………気絶してるな。
早い所、ベッドへ連れて行かないと。
慌てて立ち上がった僕の目の前に、
雨に濡れて、さらに深い黒に染まったコートを着た少年が、ふらふらと、立っていた。
「…………………」
「…………………」
まだ、やる気なのか?
少年の、俯いた顔のその表情は、濡れた髪に隠れて、伺う事が出来なかった。