22話 創造しい男
そして。
僕達と頴娃君の間には、広いスペースが開いていた。
英知の【能力】かとも一瞬思ったが、
入り口から響いて来た声によって、何が起こったかは大体理解できた。
「おいおい、何だコレ!!何だコレ!?撮影か!?撮影なのか!?とりあえず危なそうだったから【広げて】みたけど、もしかして邪魔しない方がよかったのか!?邪魔をしちまったのかな俺!?」
亜空だった。
どうやら、【能力】を使って僕達と頴娃君の間に、新たな空間を創ってくれたらしい。
「っ!!よりにもよって!!」
頴娃君が再度本を振るう。
恐竜の骨が、恐ろしいスピードで迫って来る。
が、それよりも亜空が創る方が早い。
結果、頴娃君は、骨とともにかろうじて見える程に遠くに行ってしまった。
それを見て、英知は溜め息を吐きながら手を服から出した。
何をするつもりだったんだろう。
聞いてみたい所だったが、それより早く亜空が僕たちに近付いてきた。
「おいおい!!おい!!何だよアレ!?骨!!それも恐竜!!アレって動くんだな!?凄くね!?本物か!?ものほんか!?本物なのか!?どうなってんだ!?」
「興奮するのも分かるが、少し落ち着いてくれ。」
「これが落ち着いていられるかってんだ!!なぁ茉莉!!どうなんだ!!本物なのか!?撮影なのか!?特撮なのか!?本物なのか!?」
「いや、ちょっと落ち着いて、質問も被ってるし。」
「落ち着いた。で!!どうなんだ!?」
「………………。一応、本物みたいだね。」
うぉぉー、すげー、と騒いでいる亜空。
まぁ、巨大ロボとか好きそうではあるな。
対して、僕は酷く混乱していた。
―――タイミングが良すぎる。
漫画やドラマじゃないんだから、コレはいくらなんでもタイミングが良すぎる、と。
もしかしたらコレさえも罠なんじゃないか、と。