表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/200

18話 散らばる思考


頴娃君の【代償】を想像するに当たって、まず考えなければいけないのはもちろん【能力】の事だろう。


さっき………いや、かなり前から気にはなっていたが、英知も、それから頴娃君本人も、

【能力】の事を、人の心を【読む】のではなく、【見る】、と表現している。

最初はそんなのどうでもいい違いだと思っていたが、そうではないだろう。


どうでもいい違いなら、あんなにあからさまな言い方はしない。

明らかに意図的に、英知は【見る】事を強調していたのだから。



【見る】という事と、【読む】という事はどう違うだろう。



結局はどちらも、相手の考えている事を知る事が出来る点では同じだが。


………知るまでの過程が違う?

そうかも知れない。



【読む】というのは、其処にあるものを、文字通り読むのだろう。

それが今回は、人の心だというだけで。


対して、【見る】だとどうなるか。


あくまで推測だが、見えてしまうんじゃないか?


読むは自分から意図しての行動だから、もし読みたくなければ眺めていればいい。

文字を模様に変換するのは、想像するより遥かに簡単なのだから。


―――だから、頴娃君の【能力】は、人の心を【見る】んじゃなくて【見えて】しまう事じゃないのか?



―――そして、それならば、僕が今まで【能力】だと考えていたものはむしろ【代償】の側じゃないか?



―――さらに、それが【代償】だとすると、骨を動かす、すなわち【何かを動かす】というのが頴娃君の本当の【能力】じゃ―――




待て。待て。


話を飛躍させすぎだ。それも変な方向に。

何の確証もないのに、このまま思考を続けても、泥沼に嵌るだけだ。

いや、むしろもう嵌っているのかもしれない。



何だか考えが纏まらない。

正しい方向に進んでいるのかも分からない。



――――あぁ、なんだか頭が重い。

考えるという事が、こんなに難しい事だったなんて。




少しだけ。

そう、少しだけ頭を休ませようと、僕は、今まで話半分に聞いていた二人の会話に、意識を傾ける事にした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ