13話 駆け引きー01
カツ、カツ、と頴娃君の方へと歩く。
巨大な骨が、いやがおうにも威圧感を与えてくる。
んー、こんなの本当に止められるのか?
…水が弱点ってさっきの話では出たけど………うーむ、改めてじっくり見ると、とてもとても。水なんかで何とかなるとは思えない。
コツ、コツ、とさらに歩を進める
黒衣の少年は、ひた、と僕を見据えている。
目を見なければ大丈夫な筈なのだが、不安な気持ちがあふれてくる。
近づくにつれ、さらに存在感をます巨大なオブジェ。今でもまだ僕は、心のどこかで、こんなものが動く筈がないと思っている。
………水。水、か。結局千寿さんの【能力】っていうのはどういうものなんだろう。【雨を見る】とか言ってたか。
…………う〜ん。意味不明だ。雨が降っているのを見るのなんて、僕にだって出来る。となるとやはり別の意味があるのだろう。
【見る】というのがよく分からない。
【降らす】なら【天候を操る能力】とか色々考えられるんだけど。
…………【見る】か。やはりもう少し具体的な事が分からないと、作戦を立てづらい。
カツン、カツン。
英知の横に着いた。結局何も思いつかないまま。
「さて、では、どうぞ。」
あくまでも静かに、英知に対して発言を促す頴娃君。
「あー、そうだな。その前に、もう一つだけ聞いてもいいか?」
「これ以上の質問はお断りします。」
「待て待て。今聞こうとしてるのは、【調べて分かった事】と関係のある質問だ。その情報によっては、俺の持つ考えの意味が変わってくる。」
「………………………………………………………こちらをちゃんと見て、もう一度行って下さい。」
長い沈黙の後、頴娃君はそう言った。その口振りからして、英知が【能力】についてある程度気付いている事を踏まえた上での質問だろう。
英知は、顔を頴娃君の方へ向けて言った。
「今から聞くことは、【此処】を調べて分かった事と関係がある。」
「…………………いいでしょう。質問を許可します。が、こちらからも一つ提案があります。」
英知の体がピクッと震える。
「今後発現する時は、きちんと互いの目を見て話す事にしましょう。なにせ真剣な話ですからね、相手の目も見ないというのでは、失礼に当たるでしょう?」
頴娃君は、皮肉交じりにそう言った。
【能力】を知った事で、こちらが有利になったかと思ったがとんでもない。
あの話し合い中に、【視線】について僕たちが気付く事など、想定済みだったという事か。
英知と一瞬視線が合う。が、どう返したものか。
「俺ってさー、人見知りだから、それはちょっと―――」
苦しい言い訳をする英知だが、
「駄目ですね。」
あっさり否定される。やはりここは譲らないか。
英知の質問がどういうものかは分からないが、多分それが時間稼ぎの策なのだろう。となると、その話の間に僕が何らかの策を思いつくしかない。
不安しかないが、正直もうそれしか、この状況を打開する手段などないだろう。浅く頷いて、英知に合図を送る。苦い顔で、英知も軽く頷き返した。
「――――――――――分かった。」
少年は、にこりと笑むと、言った。
「では、質問をどうぞ。」