11話 疲労
視線?頴娃君に見られたら心を読まれるという事だろうか?だとしたら正真正銘防ぐ手段がない。ん?でもそれだと英知はどうやって【見】られるのを防いでたんだ?別に姿を隠すようにな行動はしてなかったと思うけど。それ以前に隠れられるような場所も無かったし。ああそうか、どういうのか詳細は分からないけど英知の【能力】で壁を作ってたりしてたのかな。【見えない手を動かす能力】てとかあるかもしれないな。それだとさっきのドアが勝手に開閉した現象も説明がつくし。相変わらず目的は分からないけど、それは英知の事だから何か―――
「――――――――――で、――――――――――だから、――――――――――。つまり――――――――――?――り?」
―――それに頴娃君もどうしちゃったんだろう。アレはあきらかにおかしい。アレが素の性格だと言ってたけど、やっぱり僕には信じられない。信じたくない。千鶴子さんの事といい、鞘香さんの事といい、今日は何か色々な事が変だ。【此処】が少しずつ変になっていってしまってるみたいで、嫌な感じだ。大体【此処】は―――
「おい!!こんな所で寝るなよ!!茉莉!!」
「……え?あ、あぁ。悪い。別に寝てないよ。」
しまった。またいつの間にか考え込んでしまってた。
英知は少し呆れた顔をしてため息を吐く。
「寝てないのは分かってるよ。目、開いてたしな。………大丈夫なのか?やっぱりまだ体調がよくないんじゃ?」
「いや、大丈夫。すぐに考え込んじゃうのは僕の悪い癖なんだ。」
「そうか?しっかりしてくれよ、ここが踏ん張りどころなんだから。」
腕時計をちらりと見て続ける。
「……もうあんまり時間がないな。やっぱり10分じゃ足りなかったか。」
足りなかった、というか、僕たちが無駄話をしてたせいじゃ………
いや、半分以上僕のせいなんだけどね。
「よし、本題に入るぞ、あの骨をどうするかについでだ。」
「頴娃君からさっきあらずっと見られてるのは問題ないの?」
「大丈夫だろ?さすがに読心術は使えないだろうし。」
「いや、でも見られてたら心も【見】られるんじゃ?」
僕がそう言うと、英知はキョトンとした。そして自分の額に右手を当てると、僕の額に左手を当てた。
「…ん、熱はないみたいだけど。…………この騒動が終わったらちょっと寝た方がよさそうだな、茉莉。多分お前、自分で想像してるより、遥かに疲れてるぞ。」
………そうかもしれない。今日は色々な事がありすぎた。英知の言うとおり、今日はゆっくり休もう。
その為にも―――――
「ありがとう。時間もないし、二度手間で悪いんだけど、もう一度話してくれるかな、頴娃君の【能力】について。」