10話 英知の考察ー05
「あの骨が……………鞘香さんの、作品?あんな大きな物が?」
「ああ、ほぼ間違いないと思う。」
「いや、でも、あんな大きな作品を作れるのか?僕が今まで見た限りでは、とてもあんな物を作れるとは思えないんだけど。」
「…………………いや、俺自身、言ってて信じ難いんだけど、なんていうのかな、その、感覚?というか雰囲気、というか。………………とにかく、そうとしか考えられないんだ。」
英知にしか分からない感覚があるのだろう。そこまで言うのなら、アレは鞘香さんの作品なんだろう。
「それで、それが何が問題なんだ?」
「…………うん、問題というか。…………………アレが確かに鞘香の作品なら、あの骨は水に弱いという事になる。と思う。」
珍しく歯切れが悪いな。鞘香さんの作品の弱点が水、というのは何となく気付いてたけど、確かに、あの大きさに効くのかどうかは疑問が残る。というよりそもそも、
「仮にアレが鞘香さんの作品だとしても、そんな量の水、どこから持ってくるんだ?」
「それは俺に考えがある。千寿に雨の天気を【見て】もらえばいい。ただ―――」
俯いて難しい顔をする英知。そのままの体勢で続ける。
「―――どう考えても、もう一手足りない。」
千寿さんに見てもらう?どういう事だろう?
「千寿さんに見てもらうっていうのは?どういう?」
「……………」
黙り込む英知。
「英知?」
「…………………話してもいいんだが、それを話す前に――」
もう一度頴娃君の方を軽く伺う英知。
「―――アイツの、頴娃の【能力】についての俺の予想を先に話すよ。」
そうか。何でもかんでも聞かない方がいいな。頴娃君に僕の心を【見】られたら元も子もない。
「頴娃の【能力】だけどな、鍵は、【視線】だと俺は考えている。」