6話 姿無き訪問者ー01
「…………話を戻します。閉じ込めている【能力】と関係ない、というのはおそらく本当なんでしょう。始めからそちらは、僕もあまり期待していませんでしたし。質問を変えます。英知さん―――っ」
ゆらりとゆれる。
気のせいかもしれないが、少し苦しそうにも見える。
「―――貴方が僕らを閉じ込めている【能力】について、少し前からいろいろ探っているのは知っています。調べて分かった事を全て話して下さい。」
「断る。」
少しの躊躇いもなく断言する英知。
それは、別に話してもいい気がするんだけど。
むしろ話して、頴娃君にも協力してもらえば………
「………やれやれ、いい加減自分の立場をわきまえて欲しいんですが。」
そこで僕の方へと顔の方向を動かし続ける。
「……………茉莉さん、そう思うのなら英知さんを説得してくれませんか?それとも、貴方が話してくれるのでも構いませんが。」
話すと言っても、僕はまだ、ほとんど何も知らないような状態だし。
となると―――
「なぁ英知、話してもいいんじゃないか?頴娃君にも協力してもらってさ―――」
「駄目だ。」
取り付くしまもない返事が返ってきた。どうしてそこまでかたくなに拒むのだろう。
と、その時、背後のドアがギギギと開く音が聞こえた。
誰か入って来たのか?
英知も頴娃君も、もちろん僕も、意識をそちらへ向ける。
しかしどういう事なのか、
はたしてそこには、誰もいなかった。