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18話 疑わしき者

「どうしたんだよ英知、さっきからちょっと変だぞ?」

食堂から続く長い廊下を歩きながら聞く。


「そうか?そう見えるのならそうなのかもな。」


「……。だいたい、何でさっき栞に鞘香さんの事を聞いた時、僕の事を睨んだのさ。」


「茉莉。俺はな、栞を疑っている。」


疑っている?

「え?」


「だから、栞が俺たちを閉じ込める【能力者】の一人だと考えている。」


「そんな………だけど…………栞は…………」

怪しいのかもしれない。


「栞は?」


「………………分からない。」


「まぁお前が栞を擁護したくなる気持ちも分かるけどな。怪しい事は怪しいんだ。二階の千鶴子が閉じ込められてた部屋の鍵の事もそうだし、さっき食堂へ入って来たタイミングもそうだ、他にもいろいろ、挙げだしたらキリがない。」


「…………でも、僕は。」

栞は。栞だけは疑いたくない。


「いいよ。お前の変わりに俺がその辺は背負ってやるから。その変わりと言っては何だが、お前は鞘香を疑ってくれ。」


「え!?鞘香さんを?でも英知は。」


「正直よく分からないんだ。アイツの可能性も結構な確立であるんだよ。この消失騒ぎだって、計画の一つなのかもしれない。けど、どうしても俺は、アイツ―――鞘香――――では無いと思ってしまう。いや、思いたいんだな。だから、お前が変わりに疑ってくれ。」


「………………分かった。」

そうだ。僕は、栞を疑いたくない。


――――――――――

――――――――――


長い廊下の終わりが見えて来た頃、急に英知が言った。

「ん!?………………なぁ茉莉、お前今何か言ったか?」


「別に何も。」


「おかしいな。確かに………いや、気のせいか?」


少し歩くと、かすかにノイズのような音が聞こえた。

コレの事か?英知が言ってるのは。いや、それにしては全然声には聞こえないし。

「やっぱり聞こえる。お前にも聞こえるだろ?行っちゃだめ、って。」


「悪いけど、聞こえない。」


「…………………おかしいな。幻聴か?それとも誰かの【能力】か?」


と言って立ち止まる。

僕も耳を澄ましてみるが、やはり何も聞こえない。

さっき聞こえたノイズの様なものも、英知に言われたから聞こえた気がしただけだったのだろう。


「そろそろ着くし、先に図書館を確認してしまおうよ。」


「……………そうだな。気にしてても仕方ないか、もう聞こえないみたいだし。」


そして僕たちは再び歩き始めた。

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