13話 認識ー01
「………ぃ!!おいって!!」
目の前に心配そうな英知の顔があった。
…………………頭が痛い。
どうやら、僕は床に倒れているらしい。
背中に床の感触を感じる。
手触りは普通の床だ。
違うことといえば、ただただ白い事。
心配そうに覗き込む英知の後ろには、やはり白い―――空間があった。あれが空、なのか?
……なんだよ。何だコレ。
不安定に、なる。
ああ、まずいな。
この場所にいると僕は、病院を思い出してしまう。
「……………白い。」
僕が意識を取り戻したのを確認すると、英知は僕に呼びかけた。
「落ち着け!!いいか茉莉!!【此処】も空は青い。お前にどう見えてるか分からないが、空は青いと【認識しろ】!!」
認識するとはどういう事だろう。
「………だって、確かに【此処】の空は………」
「違う!!青い!!俺を信じてそう【認識】するんだ!!」
よく分からないが、ここは従おう。
空は青い。空は青い。
【此処】の空は青い。
いつの間にか、白かった筈の空が、青くなっていた。
「………………え?」
起き上がって周りを見る。
空は青くなったが、他のものは相変わらず白い。
「大丈夫か茉莉。とにかく今は急いで下に降りよう。よく分からないが、今のがお前の【代償】の可能性もあるんだから。」
「……………」
「詳しい事は降りてから教えるから!!」
英知に引きずられるように、僕は屋上を後にした。