4話 探索ー02
英知と一緒に順々に部屋を探していくが、一向に鞘香が見つかる気配はない。
むしろ、当たり前といえば当たり前だが、全く人の気配が無かった。
その上、本当に同じ建物内なのか疑いたくなるほど、2階はボロボロだった。
部屋の配置は一階と同じのようで、探していない部屋の方が少なくなった頃、そのドアに行き当たった。
「んん?鍵、かかってんな。この部屋。」
とドアノブをいじりながら英知。
「え?建てつけが悪くてあかない、とかじゃなくて?」
「いや、確かに鍵が掛かってる、ホラ。」
英知に進められて、僕も実際にノブを回してみる。ガシャンガシャンというこの手ごたえは、確かに鍵独特の物だった。
「うん、確かに。………もしかして、ビンゴかな?」
「かもな…………………」
「…………………」
僕らはそこで黙り込んでしまった。仮にこの部屋がビンゴなのだとしても、僕らには開ける手段が無い。
「ここの鍵―――もしくは合鍵でもいいんだけど―――持ってない?」
「持ってる道理が無い。」
「だよね。」
さて、どうしたものか。一つ思いつくのは、体当たりでぶち破る方法だけど、それは少し非現実的にすぎる。フィクションならまだしも、現実のドアがそんな方法で開くものか。…………………いや、でも…………………。
僕と似たような思考をしていたらしい英知が、こちらを伺うような感じで聞いてくる。
「体当たり、とか、してみるか?」
他に解決策が思いつかないので、僕はとりあえず首肯する。
「まぁあれだ。もしかしたら開くかもしれないぜ?このドア、見るからに年季入ってるし。」
確かに。同じ階の他の部分と同様、ここのドアもボロボロだった。試す価値はあるのかもしれない。