3話 探索ー01
「思うんだけどね、君が探して見つからないのなら、それはやはり、彼女が全く予想外の場所に居るって事じゃないかと思ったんだ。」
僕の説明を聞いて、英知が少し困った顔をする。
「いやそれは先刻も聞いたけどさ、だからって【人が普通行きそうにない所から探す】っていう理屈は、あんまり納得がいかないんだけど。」
「そうかなぁ。だから、誰にも会いたくない時が会ってさ?」
二人で廊下を軽く走る。
「いや茉莉お前、俺の説明聞いてたか?アイツは、人に見つけて貰えなくなるのが怖いんだぜ?何で自分からそんな場所に行くんだよ?」
「それでもそういう気分になる事もあるんじゃないかな?」
「いや、うーん、まあ、考えにくいが。」
先行していた英知が、目の前の部屋のドアを開ける。
「それにさ、少しずつ可能性を潰していった方がよくないか?」
部屋の奥まった部分に、隠れるように階段があった。何で部屋の中に階段があるんだろう。
「……いや、その考え方はよく分からん。まぁ、俺一人では見つけられなかったから、こうしてお前の案を採用してるんだけどな。」
木で出来た階段を上る。ギシギシと嫌な音が響く。
「………………ていうか、二階とか有ったんだね、【此処】。」
「まぁな。変な所にあるからな、階段が。他の住人の部屋も全部一階にあるから、むしろ知ってる奴の方が少ないんじゃないかと思う。俺だって、この前偶然見つけたんだ。」
階段が軋む。壊れないよな?
「なんかよくわかんねーよな、【此処】って。あぁそういえば、屋上もあるぜ。見たらきっと驚く。一応確認はするよな?」
もちろん、と頷く。それにしても驚くってどういう意味だろう。
「何だか、隠し部屋―――というより、隠し階、みたいな感じだね。」
英知に続いて階段を上りきる。階段と廊下の間にもまたドアがあるようだ。
「そうだな、何を隠す必要があるんだろうな。でも、この前一通り見た感じ、変な物は何にも無かったぜ?だから、それはさすがに考えすぎかもな。」
英知が開けたドアから覗く廊下は、一階と殆ど同じだった。