表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/200

7話 木霊と亜空

「よーす!!木霊ぁ、いるか?」

ピシャン、と元気よく扉を開く亜空。


今亜空が乱暴に開いたドアが、【言霊の部屋】の入り口だ。他の部屋と違い、木で出来ているのが異様だが、後は、横開きの普通のドアだった。

普通のドアなのだが、何故【此処】のドアは、ノブ付きだったり、引き戸だったり、統一感というものがないのだろうか。建物を建てた人は、いったい何を考えてこんな造りにしたのだろう。


――――――――――――――――――――

挨拶を済ませたという事で、取り敢えずの目的を達した僕たちは、これまでと同じように、部屋を辞そうとした。一度はそのまま別れる運びとなったのだが、栞の「後は、木霊君だな。」という発言を聞いて、気が変わったらしい。「俺もいくよ」と半ばむりやり僕たちと一緒に行くことになった。栞は少し不満そうな顔をした―――気がしたが―――すぐに了承した。


目的地に向かって歩いている最中、上機嫌に喋り続ける亜空と、それに応じる僕と栞。

彼の【代償】を聞き、止めようと思っても、少し意識して彼を見てしまう。見ている限りでは、よく分からない。

【把握できない空間がある】、か。どういう意味何だろう。


…………………止めよう、邪推だ。


そうして、部屋に着いた。木のドアであるという事意外は、全然他のドアと変わらないその外見に、少し違和感を覚えた。いや、がっかりしたというべきか。僕は、【言霊の部屋】というその名前から、もっと重厚なイメージを抱いていたのだ。始めの図書館が、印象的過ぎたのかもしれない。


部屋にたどり着くなり、亜空はドアを勢いよく開けた。

おいおい、そんなに力を入れたら、ドアが壊れるぞ?


――――――――――――――――――――


部屋を見回しながら、幾度か「木霊ぁ?」と呼んでいた亜空は、やがて溜め息を吐いて振り向いて、言った。


「っれ?おかしいな、いないぜ?なぁ栞、他に木霊のいそうな所に心当たりとかあるか?」


「いや、彼は特に縄張り意識が強いから、ここにいないとなると…………………」

そこで栞は、考え込むように視線を下げ、もう一度上げた所で、何故かにやりと笑い、答えた。

「ちょっと、分からないな。ふふ。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ