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4話 茉莉の回想ー01

廊下を歩く。

抱えたコーヒーメーカーがカチャカチャと音を立てる。

左右を白い壁で挟まれた廊下は、病院を想起させる。

左側に規則的に並んだ窓から、優しい光が差し込んでいる。

その光に、心が癒される気がした。

…………病院……………か。

歩きながら、僕は昔の事を思い出していた。


――――――――――――――――――――

その白い部屋の中には、三人の男がいた。


一人は、僕。

一人は、僕の主治医。

そして一人は、この病院の院長。


「どうですか?」

「ええ、経過は良好です。【能力の抑制】。最初は不安でしたが、どうやら上手くいきそうですね。」

「そうですか。それは結構な事です。このまま上手くいけば、他の患者にも応用していきましょう。」

と、そこで言葉を切り、院長は僕に視線を向けて言葉を続ける。


「どうですか茉莉君。気分の方は。」

睨みつける。

後ろ手に縛られた腕が、ギシギシときしむ。余り痛みは感じなかった。

噛まされた猿轡からは、唸り声しか出す事ができない。


「ふふふ。怖い怖い。」

「院長、あまり刺激なさらないように。」

「ああ、これはすみません。彼をからかうのが面白くて、ついつい…………ね。」

「気持ちは分かりますが院長、そろそろ薬を投与する時間ですので。」

「そうですか、では、よろしくお願いしますよ。」

「ええ、お任せ下さい、院長。この研究が上手くいった暁には、お願いしますよ?」

「ええ、分かっています。」


その後交わされた、二人の笑い声が、酷く酷く、耳障りだった。

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