表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/200

※14話 ばれていた嘘


何故この男が、ここにいるのだろう。

亜空や千鶴子を、別の施設に移しに行ったのでは無かったのか?

必死に冷静さを保とうとする私。【良心】が無いと思われている私。

確かに状況は悪いが、その部分がばれていなければ、まだ何とかなる。


茉莉君が、男と会話を交わしていた。聞こえてはいるのだが、内容が頭に入って来ない。

それほどに私は焦っていた。

やがて、茉莉君が頭を抱えて座り込んだ。どうしたのだろう。心配ではあるのだが、今の状況を思うと駆け寄る事もはばかられた。


「さて、栞」

【茉莉】を本当に物でも見るように見下ろしていた男は、やがて私の方に振り向き、話しかけて来た。今までの寒気のするような猫撫で声ではなく、真剣そのものの声で。そしてその目は【茉莉】に向けられたのと大差ないものだった。


やめて。

そんな目で私をみないで。


「君ももう用済みだな。僕の実験を手伝いたいと、あれほど熱心に言うから、使ってやっていたのに。君には失望したよ」

「……そんな。待って下さい。これからはちゃんと―――」

「次なんてないよ。それにね、上手く隠していたようだけど、僕の目は誤魔化せない」

「…………」

まさか。まさか。

「君は【良心】を失ってなどいない」


ばれていたのか。

私の【代償】。

【良心】。

それは、嘘ではないけれど、本当でもない言葉。

私の体が細かく震えだした。はっとして抑えようとするが、自分の意思ではどうにもならなかった。

止めをさすように、男は言葉を続ける。

「いい気なもんだな、人からは奪っておいて、自分は何も失わないなんて。【良心】なんてそんなくだらないものが【代償】になるという時点で、君は人間として腐っているんだ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ