表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/200

※5話 亜空と栞



どこだ、ここは。

どこなんだ、ここは。

もう嫌だ。出してくれ。


手も足も動かせない。

どうやら狭い箱の中らしい。

なんでこんな事に?

嫌だ。嫌だ。俺が何をしたんだよ!!

出してくれよ。


嫌だ!!怖い!!もう!!俺は!!



―――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――



「―――――俺はっ!!!」


周りをゆっくりと見回す。

その白い部屋には、見覚えがあった。


「……………俺の、部屋だ。」

【此処】に来た時からずっと使っている俺の部屋だった。


「……………夢、か。」


今は何時なんだろう。

俺はどのくらい寝ていたのだろうか。


それにしても、嫌な夢を見たもんだ。

思い出したくもない。

俺が【能力】を使えるようになったきっかけ。


昨日あれだけ無理をしたからだろうか。

だから。

こんな夢を見てしまったのだろうか。

だから?

よく分からない。


重い体を何とか動かし、ベッドの上で体を起こす。

体中、べっとりと汗だらけで気持ち悪い。



「……………亜空君。」

シャワーでも浴びようと、行動を起こそうとした俺の背後から、その声は聞こえた。

昨日あんな事があったからだろうか、俺は、身構えながら振り返った。


「………栞か。どうした?昨日の件について、くわしい事情とやらを教えてくれるのか?だったらシャワーを浴びるから―――」


「違うんだ。」

俺の声を遮って、栞が言う。


「違う?」


「君が。君が、それこそ疲れ切っているのは分かっている。だがそれでも、君しかいないんだ。」


「俺しかいない?………話がよく分からんぞ。もうちょっと整理してくれ。お前らしくもない。」


「【アル・アジフ】に対抗できる【能力】を持っているのは、君しかいない。………私と一緒に、来てくれないか。」



「………………………。それって、今日じゃないと、駄目なのか?俺今日はちょっと―――」


「頼む。」

そういって、栞は頭を下げた。

………俺の見間違いか?

あの栞が?頭を下げる?



それでも。

それほどに懇願されても、俺は迷っていた。

もう俺の体は限界なのだ。

【能力】なんて使えたものじゃない。

今日はゆっくり休みたい。


でも。どうする?

あの栞が頭を下げるなんて、ただ事じゃないぞ。

こんなに真剣に頼まれて、それを断るなんて、そんな事俺に出来るのか?

だがやはり体が………。



俺は――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ