4話 ラストディスカッションー07
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
何なんだこの沈黙は。
ひとしきり笑い転げた後、千寿さんはふと、黙ってしまった。
沈黙が、とても不気味だった。
僕の選択は、間違ってしまったのか?
またしても。
だとしたら、最後の最後まで、締まらないな。僕は。
でも、やれるだけの事はやったのだ。
何度も諦めそうになったが、両手両足が動かない状態で、出来るだけの事はやった。
………本当にそうか?
………本当に、そうなのか?
考え出したら止まらないが、僕はそう信じて、千寿さんが何かを言うのを、ひたすら待った。
その後ゆうに10秒が経った。
さすがに沈黙に耐えるのが辛くなった頃、千寿さんが口を開いた。
「いいわ。」
「………何が?」
「30点よ。」
「………だから、何が、ですか?」
さっきから会話が微妙に噛み合わないが、僕は辛抱強く質問を続けた。
「分かるでしょ?さっきの貴方の見苦しいこじつけよ。もしくは屁理屈。【アル・アジフ】を詳しく調べたいとかいう。」
「それが、30点だと?」
確かに、自分でも酷い言い分だったと思う。
「そう。赤点すれすれだけれど、それで何とか妥協してあげる。それが例えとんでもないものでも、理由さえあれば、私はまだ、十分逆らえる。」
「?」
「本当なら、もっと高度な言い訳を考えて欲しかった所だけれど。というより、貴方には、そのくらいできそうなものなのだけれど。」
「??」
艶かしく舌を動かし、千寿さんは続ける。
「つまり、縄を解いてあげる、と言ってるのよ。」