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※22話 定期外報告ー02


ぷるる、ぷるる。


という音が、部屋だけでなく、廊下にまで響いている気がした。

それほど、今の【此処】は静まり返っていた。

普段から、これくらい静かな筈なのだが、今日は特に静かに思える。

まぁ、それも私の主観的な問題なのだろうが。


「……………。」

電話が繋がるのを、少しいらだちながら待つ。

今回もまた、定期報告ではなかったが、必ず繋がる筈だった。


あの男の事だ。どうせ、私を焦らせて楽しんでいるのだろう。

そんな事をしても、意味なんてないのに。




「………どうなった?」

ようやく繋がったかと思うと、開口一番に男は聞いて来た。


事務的な声を意識して、答える。

「はい。ロストしていた対象を発見しました。」


「全員か?」


「はい。3人とも。」


「同じ場所にいるのか?」


「いえ、茉莉と千寿は同じ場所にいるようですが、千鶴子は少し離れた場所にいるようです。」


「………………なるほど。」


少しの間、沈黙が流れる。


沈黙の後男は、急に耳障りな猫なで声になって続けた。

「で、どうしたい?」


「どうしたい、とは?」

嫌な予感がする。


「ク。助けたいのか?」


「誰を、でしょうか?」


「もちろん被験者【茉莉】の事だ。」


「………。」


またも沈黙。

この男が何を言いたいのか、全く分からない。


自分の研究の事にしか興味がない、この男が。

研究対象がどうなろうと、どうでもいいとアレ程言っていた男が。

友情など糞食らえだと、あれほど豪語していた、この男が。


私は、少し混乱していた。


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