表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/200

16話 何を信じるかー02


千寿さんが心配そうな顔をした瞬間に、またも【アル・アジフ】が鈍い光を放つ。

僕は、無意識に少し身構えてしまう。

何でだろう。何故僕は、そこまであの本を警戒してしまうんだろう。


「ねぇ?茉莉君。」

すぐに元の笑顔に戻り、千寿さんが問いかけて来る。

そして笑顔が作り物めいたものに戻ると同時に、やはり本も輝きを失う。


「これは結構ありがちな質問なんだけど、動物の中で、人間だけが唯一する事ができる感情表現って、何か知ってる?」


聞いた事がある。というか、読んだ事がある。それもつい最近。

○○に借りた小説の、

ちょっとシリアスな場面で出てきたそれは、確か。

「笑い、ですか?」


「そうよ。やっぱり知ってたのね。茉莉君は、そういう事を知っていそうな気がしたの。」


「たまたま、ですけどね。」

そう、たまたま、その小説を読んでいただけだ。


千寿さんは、たまたまでも、知っているという事が大事なのよとつぶやいて続ける。

「――他の動物が、嬉しそうな顔をしていても、それは決して、本当に楽しい訳ではない、とそう言われているわね。」


それも書いてあった。

そして僕が読んだその小説では、笑うという行為は、人間だけに許された高尚な行為だ、という風に続いたと記憶している。


「そして、笑うという行為には、もう一つ特徴があるんだけど、何かわかる?」


「特徴?」


「そう、他の表情―――感情―――には無い、特徴。」


他の表情には無い特徴?そんなものがあるのか?

「なんなんですか?特徴って。」


僕がそういうと、千寿さんは呆れた様な顔をする。

【アル・アジフ】が強く光を放つ。


直ぐに笑顔に戻った千寿さんは続けた。

「私をあまり失望させないで。貴方はそんなに頭が悪くない筈よ。そうやって直ぐに答えを求めていては、頭がどんどん鈍っていくわ。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ