15話 空間破杖ー02
空間を制御?
まだよく分からないけど、つまりあの杖で、亜空みたいな事が出来るって事かな?
微々たるものとはいえ、亜空の【能力】が使えるというのは驚くべきことだ。
………使える【能力】というのはどのくらいなんだろう。
あぁ駄目だ。聞けば分かる事なのに、考え込むのは僕の悪い癖だ。
何でも聞けばいいってものでもないだろうが、分からないものを自分だけで分かろうとしても無駄だろう。
「亜空の【能力】って言ったけど、どの程度使えるの?」
「ふん、だから微々たるものだよ。例えば―――」
言いながら、栞は光る杖を目の前で軽く振るった。
すると、3メートルくらい離れていた栞が、いつの間にか目の前に立っていた。
ん、アレ?別に僕今瞬きしてないけど。どういう事だ?
「まぁこういうのだね。亜空君の【能力】の縮小版と考えればいいよ。」
「ほぉー、凄いね、そのタクト。ねぇ栞、それって、逆に広げる事も出来るの?」
千鶴子さんが聞くと、「当然だ」と言って、また栞は杖を振るった。
すると、栞は5メートル程離れた位置へ、瞬時に移動した。
なるほど、大体把握した。
亜空の【能力】の縮小版っていうのはそういう事か。
………ん、もしかして。
「ねぇ栞、もしかして、昨日の図書館でもその杖使ったんじゃない?」
僕がそういうと、栞はにやりとして、
「ノーコメントだ。」
と言った。
つまり使ったと考えてもいいだろう。
そうすると、図書館のドアが急に開いて、誰も通らなかったあの現象が、一応は説明できる。
………まぁ、ノーコメントという言葉は便利な言葉だからな。
僕の考えが正しいという保障は無いけれども。