9話 イケナイコト
「どうしても何も、あなた達がいつまで経っても来てくれないから、こっちから探しに来たのよ。」
そういえば、どれくらいの時間が経ったのだろう。
時間を確認したかったが、フォリスに急かされるように部屋を出たので、腕時計を付け忘れてしまった。
「ああ、それは、うん、すみません。」
「いや、別に謝らなくてもいいんだけど。………………それより、何で止めちゃうの?」
「え、何を?」
「分かってるくせに。」
分かってるくせに?
「………いや、分かりませんけど。」
「んん?はぐらかそうとしても無駄だよ?」
「いや、だから何をですか?」
「だから、イケナイコトをしようとしてたんでしょ?フォリスちゃんに。」
「は?」
「何を使ったか分からないけど、眠らせて無抵抗なフォリスちゃんに、アレやソレのイケナイコトを。」
「いや!!いや、いや!!違いますよ!!断じて!!」
「隠さなくても分かってるわよ。」
「分かってないです!!違いますから!!」
「えー、違うのー?」
酷く不満そうな声を出す千鶴子さん。
何で不満そうなんだ。
「ええ、違います。」
「じゃあやってよ、今から。」
「はぁ?」
「イケナイ暴走をしようとする男の子を、やさしく諭すお姉さん役がやってみたいから。やって。」
「嫌です。」
「………ノリ悪いなぁ、もう。………まぁいいわ、じゃあ本題に入るけど、何でこんなに来るのが遅くなったのか、理由があるなら説明してくれる?」
幾分真面目な顔と口調で、千鶴子さんは言った。