7話 拡散廊下ー02
コツリ、コツリ、
と、一人分の足音が、廊下に響く。
「…………………はぁ。」
思わず溜め息がでる。
……さすがに、重くなってきた。
いくら軽いとはいえ、人一人を背負ったまま、長距離を歩けるほどには、僕の足腰は発展していない。
……………というか、遠すぎだろ、さすがに。
もう、僕の部屋から【映写室】まで、往復する分くらい、歩いた気がする。
フォリスと話している間、歩いた距離なんてあまり意識していなかったから、その分と、
僕のこの筋肉痛のせいで、いつもより距離が長く感じてるのかな、とか、
色々と考えて、差し引いてみたけれど。
もうそろそろ、誤差で片付けるのは、不可能になってきた。
もうこれは確定的に。廊下に何か異変が起こっているとしか思えない。
さっきから、同じ所をぐるぐる回っている気もするし。
さすがにそれは気のせいだろうけど。
誰かの【能力】か?
………空間関係で、一番に思いつくのは、亜空だけど。
でも、亜空は今ダウンしてると思うんだよな。
僕でさえこの状態なんだから、昨日アレだけ【能力】も身体も酷使した亜空が、回復しているとは思えない。
まぁ亜空の事だから、もう回復しているのかもしれないが。
それにしても、他にも僕が【能力】を知らない人もいるから、一概に亜空の【能力】とは決め付けられない。
もしかしたら【代償】の方かもしれないし。
………あ、そうか、フォリスの【代償】かな?
………本人に聞かないと何とも言えない所だけど。
どちらにしろ、迷惑である事には変わりない。
こんな悪戯みたいな事をして、何の得があるんだよ。
いろいろと考えてる間に、さらにもう一回【映写室】までいけるくらいの距離を歩いた。と思う。
が、以前として、目標の部屋は見えてこない。