6話 拡散廊下ー01
後から不当な文句を言われるかもしれないが、
かといってその場に放っておく訳にもいかず、
僕はフォリスを背負って、再び廊下を歩き始めた。
………それにしても、軽いな。
気絶しているせいで、体から力が抜け切っている。
そのせいで少しは重くなっている筈なんだけど、それでも軽い。
まぁそれはいいとして、だ。
自分で言っていて、全然疑問に思わなかったんだけど、
後から冷静になって考えてみると、さっきの僕の発言はおかしいな。
否、発言というか、思考か。
そもそも。
そもそも、【恐竜の骨】は有って当然なのだ。
さっきは有る方がイレギュラー、みたいに考えていたけど、それは違う。
もともとあの骨はあったのだから。
動いていた事がおかしいのであって、骨自体は有っても不思議じゃない。
………だから、つまり、ええと。
フォリスがもし、骨は有って当然のものという認識だったとすると、さっきの発言の意味が微妙に違ってくる。
もしかしたらフォリスは、骨ありきで、僕に【何も無い所】で倒れた、と言ったのかもしれない。骨が原因だとは、思わなかったのかもしれない。
………いや、いやいや、まてまて。
さっきフォリスは、骨は【無かった】と言ったぞ。
………………どういう事だろう。
何だか頭がこんがらがってきた。
そもそも骨が無かったのなら、何がフォリスをこんな状態にしたんだろう。
悩むような点なんて、他に何かあったかな。
いや、無かったからこそ、か?
骨の有無も含めて、もう一度【図書館】へ、いろいろ確認に行く必要がありそうだ。
………まぁなにはともあれ、とりあえず【映写室】へ行こう。
フォリスをベッドで寝かせてあげないと。
………………………それにしても、廊下がいつもより長い気がする。